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睡蓮の人のmanamiのレビュー・感想・評価

睡蓮の人(2003年製作の映画)
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Mr.ChildrenのMV『HERO』などを手掛けた映像作家・村田朋泰の作品。
おじいさんの顔面があまりにも独特なので、最初こそ作品と自分との間に壁を作ってしまいそうになるけれど、物音にびくっとする場面からすぐに引き込まれる。
「音」は物語の鍵ともなる。躍動感を排除した映像に、細かなところまでリアルな音がつけられていて、そのアンバランスさが作品全体の雰囲気にもつながっている。
光と影も印象的。太陽光、むかーしの蛍光灯、夢の中の明るさ、しっかり表現されている。影もまたしかり。
おじいさんの身体はバランスが誇張されてるし、動きもぎこちない。けして「生きているよう」とかそんなんではない。
だけどそれはもちろん「あえて」のことで、そんなものよりも伝わってくる「何か」がある。確実に。作り手の「熱意」や「矜恃」のようなものだろうか。
神が細部に宿るように、芸術は文脈に潜む。

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