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歩いても 歩いてものjunのネタバレレビュー・内容・結末

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

是枝裕和 脚本・監督作品。

元開業医の長男の命日に、兄弟家族が実家を訪れるお話。
距離感といい、セリフといい、相対し方といい、そのどれもが絶妙でした。

冒頭、所在無さげに動き回る父(笑)。「おばあちゃんち」という子どもの言葉に物申して、娘から「小さっ!」と笑われるシーンなんか最高です。
おばあちゃん役の樹木希林さんと娘役のYOUさんの会話も面白かった(笑)
本当の親子の様でした。

是枝監督の描く家族は、演技してるように見えないのは今作品も。
余りに自然で、だからこそ、おばあちゃんが言った「…忘れられたら困るのよ」に恐怖を覚えました。撮り方も、人の闇を感じるというか…。
長男を亡くした母は、お盆に迷い込んできた蝶を長男かもと言う。「虫の知らせ」と言うだけあって頷けます。お墓参りのシーンも、親として息子を見送らなければならなかった悲しさがとても表れていました。何年経っても悲しみの中なんですね。

一見小さな事でも、それぞれの立場だから感じる思いがリアルでした。
静かに淡々と流れていくようなお話で、「巡っている」と感じる映画でした。
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