SANKOU

巴里祭のSANKOUのネタバレレビュー・内容・結末

巴里祭(1932年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ジャンとアンナの恋物語で、いつも何らかの形で邪魔が入って、それがきっかけで言い争いになり、また何かのきっかけで仲直りする。それは途中で演奏を中止してしまう楽隊であったり、口うるさいアパートの管理人だったり、ジャンの元恋人だったり、ろくでもない泥棒一味だったり。シンプルなストーリーだが、パリの街の喧騒や、ユニークな登場人物、名シーンの数々が心に残る名作の一本になった。ジャンとアンナが喧嘩別れしながらも、軒下で雨宿りするシーンがとても印象的で、雷におびえるアンナをジャンが抱き締めてキスをする姿がとても初々しくて良かった。彼の元恋人が部屋にいるとは知らずに、うっとりと窓から顔を出すアンナの姿もとても美しい。正直ジャンは怒りっぽくて、勘がにぶく、意志薄弱で好きになれないが、アンナの純粋で優しいキャラクターは演じるアナベラの美しさもあって、とても感情移入しやすかった。アンナと対称的なポーラのしたたかなキャラクターも印象に残った。とにかく、出てくる人達がみんな自由に自分の主張をして誰も謝らないが、何だかんだでうまく収まってしまうのが面白い。いつの間にか友達になっているタクシーの運転手や、常に酔っ払っているタキシード姿の老紳士、若者の愛の営みをいつも快く思わない子連れの夫婦など、忘れられないキャラクターばかりの映画でもあった。
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