Omizu

鶴は翔んでゆく/戦争と貞操のOmizuのレビュー・感想・評価

3.8
【第11回カンヌ映画祭 パルムドール】
グルジア出身監督によるロシアの反戦映画。スターリン政権下で政府の意向に沿わない映画をつくったため弾圧され、スターリン死後の本作でパルムドールを受賞した。『怒りのキューバ』がスコセッシやコッポラにより再評価され再公開された。

話としては直球の反戦映画なんだけど、ダイナミックなカメラワークや趣向を凝らした映像表現は素晴らしい。

演出も実に巧みで、時にロマンス映画、時にサスペンス映画というように変幻自在に描いていく。

ボリスを待ち続けるヴェロニカの繊細で大胆な感情表現も見事。脚本も何気によくできていて、ヴェロニカが直面する危機やボリスの兄のヴェロニカへの横恋慕、兄が買収によって兵役を逃れたと知った父など情報をどこでどう出すかといったタイミングが上手い。

リスのぬいぐるみという小道具の使い方も非常に効果的だった。

芸術的にもなかなか優れているし、ヴェロニカ役の女優さんも素晴らしい。一見の価値あり。
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