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鶴は翔んでゆく/戦争と貞操の犬のレビュー・感想・評価

4.0
冒頭から陰影と自然光の煌めきに恍惚としつつ、確固たる構図の拘りが見受けられる。螺旋階段を駆け上がる俳優を中央からフォローショットで逃さない時点で並大抵ではないのだが、特に圧巻なのがバスから降車して群衆を掻き分けていく長回しの移動撮影が白眉であり、俳優が戦車の車列に割り込んでいくときには気付くとクレーン撮影になっていて強靭且つ流麗さに驚く。撮影以外にも視線の映画でもあり、その力強い眼力に宿る覚悟と希望に惹き込まれる。
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