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青年の海 四人の通信教育生たちのSのレビュー・感想・評価

3.5
小川紳介監督第1作。
文部省による大学通信教育制度の改訂を巡り、反対闘争に立ち上がった4人のリーダーたちを追ったドキュメンタリー。
 
悪条件の下、通信教育で学ぶことの苦しさを訴える若者たち。
「通信教育…働きながら学ぶことは素晴らしい」という神話は果たしてそうなのか。
なぜそこまで苦労してまで学ばなければならないのか、と自分たちの生き方そのものを見つめることを余儀なくされる学生たちの懐疑にまで踏み込んでいることが、今作に血を通わせている。
通教制度改革(4年を5年に延長)反対の戦いは、この問題と真っ向からぶつかった。
4人の通教生とカメラは、一つの熱気をもって結束してこの映画を生み出した。

土本典昭監督の初期ドキュメンタリーと同じ岩波制作である本作だが、来たるべき大学闘争への予感を伝えて、“三里塚”や“牧野村”の連作で知られる小川プロの出発点となった。
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