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上意討ち 拝領妻始末のIdeonのレビュー・感想・評価

上意討ち 拝領妻始末(1967年製作の映画)
4.5
主人公、笹原伊三郎は会津藩馬廻り役で、藩内きっての剣客だったが、戦国時代はとうに過ぎており、その腕を使わぬまま、家督を長男、与五郎に譲ろうとしていた。あとは嫁取りをするだけだったが、突然、藩主の側女、お市を拝領することになる。最初は、固辞した伊三郎だったが、とうとう、長男の嫁として迎えることになった。藩主から暇を出された女ということで心配していたが、与五郎とお市は仲睦まじく、二年が経ち、娘も誕生したのだった。ところが、藩主の長子が不慮の死を遂げ、次子の母親であるお市は再び大奥に召し上げられることになった。あまりに理不尽な仕打ちに、伊三郎父子は反旗を翻すのだったというお話。
三船敏郎、仲代達矢という、黒澤作品の二大スターを揃え、脚本は橋本忍、音楽は武満徹、監督は小林正樹という盤石のスタッフで撮り上げた時代劇の傑作。エンタメに毒された現代人にはスローテンポで真面目過ぎるように感じられるかもしれないが、殺気漲る三船敏郎の殺陣は見ごたえがあり、やはり、得難い役者だと思わざるを得ない。仲代達矢や神山繁の目力、司葉子の醸し出す気品、どれも、今の役者で再現できるものではない。
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