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プレステージのレクのレビュー・感想・評価

プレステージ(2006年製作の映画)
4.1
二人のマジシャンが互いに競い合い、互いに憎しみ合いながら生きたマジシャンとしての其々の半生を描く。

マジックとは本来、客観的に見て楽しむもの。
マジックとして観客と登場人物を欺く。
それをマジシャンの視点で、ある意味恐ろしく描いている。
マジックで狂わされた二人の男とその周りの人間模様、そしてマジックに捧げた犠牲と報酬。
いやーノーラン映画は個人的に好みですね、やっぱり。
人の苦悩や葛藤を上手く表現してます。

すべてのマジックは3つのパートによって成り立っている。
初めのパートはプレッジ。何の変哲も無いものを見せる。(保証)
次のパートはターン。何でも無いものを使い驚くべきことをしてみせる。だが拍手はまだ無い。(折り返し)
最後の最も難しいパート、プレステージ。驚くべきことが戻ることにより、拍手が起こる。(名声)

この作品もこの3つのパートで描かれており、完成度は高い。
冒頭のシーン。
それに至ったそれまでの人生。
そしてラストから冒頭へと繋がる種明かし。
この作中に行われる小さなマジックも伏線で、大きなマジックのタネだというところがポイントであろう。

作中で『これは"マジック"ではなく"科学"』と語られたように、SF要素が重要な要素で導入されるが、この使い方も二人のマジシャンの其々の生き方の対比を表している。
単なるサスペンス映画ではなく、人間ドラマも描かれている点はかなり評価できるところ。

また、デビュー作「フォロウィング」と同様にフラッシュバック映像による回想形式で二重構造としても描いています。
「メメント」同様に主人公の記憶の混乱が結末の伏線にもなっていて、記憶の中で騙し騙される展開がサスペンスとして深みを与えています。
ノーラン初期作品「フォロウィング」と「メメント」のノーラン要素がしっかり詰まっているんですよ。
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