米軍基地のある韓国の田舎町。米兵、銃、ドラッグ、アメリカかぶれのチンピラ、ハーフ。小さな町に入り込んできた異質なものたちが、じわりじわりと、しかし確実に人々を不幸にしていく。犬を殺して飯店に売ることで日銭を稼ぐ義父の手伝いをしているチャングクと、家業の肖像画専門店の見習いをするチフム、そして玩具の銃で撃たれて右目の視力を失ったウノク。3人ともが右目を覆い、陰鬱な顔をして3人が並んで歩く姿が面白い。
韓国に"개새끼（ケセッキ）＝犬野郎"という悪口がある。作中でも度々使われるこの言葉は、この映画の別題のような意味を果たしていると思う。どこへやっていいか分からない怒りと悲しみ、どこに行けばいいのか分からない絶望に支配された町で起こる、憎しみの連鎖。傑作。
