受取人不明の作品情報・感想・評価・動画配信

「受取人不明」に投稿された感想・評価

故キム・ギドク監督作品10本目。
沖縄も全く同じ問題を切実に抱えている駐留米軍問題をテーマにした群像劇で、評価は結構高いみたいだけど…。

出る人出る人、すぐに怒ってキレまくって暴れる。皆さん、あまりに血の気が多すぎませんか。
シリアスなんだかドタバタコントなんだか良くわからない度、ギドク作品の中でも相当高め。
犬神家の一族にはさすがに絶句。

ギドクワールドのシュール感はとても好きなんだけど、この作品は何故か最後まで今ひとつノリきれなかった。
たむ

たむの感想・評価

4.1
映像や想像力で魅せてくれるキム・ギドク監督ですが、ドラマ性やテーマ性でも優れた作品を作れることを証明した映画です。

南北分断をテーマに、米軍基地のある町に住む3人を主人公にした悲劇です。
クライマックスの怒涛の出来事や想像力のイメージはいつものギドク監督らしさ。
作品に込められた怒りもそうです。

ギドク監督自身も壮絶な青春時代を過ごしているので、その青春時代を踏み躙られることへの怒り。
ケン・ローチ監督作品にも似た底辺の人々からの怒り、想いを映画という作品で世界に問う。

この作品を契機にして、若手作家の想像力と才能以上の映画を作っていくキム・ギドク監督の進化を感じさせる一本ですね。
nana

nanaの感想・評価

-
1970年代、米軍基地がある韓国の村。
そこで暮らす人々の運命が少しずつ交差していく様が描かれます。
犬=家族の一員という考えが強い日本人からすると抵抗があるシーンも多くあります。

黒人との混血児の少年。
学校を辞めてしまい年下からも蔑まれる気弱な少年。
幼い頃に兄が撃ったおもちゃの銃で失明した少女。
西洋人相手に娼婦をしていた女性。
朝鮮戦争で3人殺したという勲章を何より誇りに思う男性。
様々な人の生活が描かれます。

韓国映画で、駐在している米軍を描いた作品はあまり観たことがない気がします。
自分たちが住む場所に異国の基地を作らされた村の人々の不満、来たくてアジアの小国にある田舎に来たわけではない軍人の不満、双方の感情が描かれます。
そして、その中から人と人の関わりが生まれることも。

終始真冬のような冷たく重い空気が流れるこの作品ですが、終盤にはいきなり犬神家か!と言いたくなるようなダイナミックなシーンもあって驚きます。

朝鮮戦争で負った傷。
過去に憑りつかれ小さな田舎の村から抜け出すことができない人々。
史実、日本が朝鮮戦争でどのような恩恵を受けたのかということも考えると、より心が痛む作品です。
netfilms

netfilmsの感想・評価

4.1
 1970年代韓国、在留米軍基地に守られた辺鄙な村。黒人と韓国人の混血児であるチャングク(ヤン・ドングン)は、犬で生計を立てる商人の下で黙々と働かされていた。彼と母親が住むのは赤い米軍のバスで、辺りに林と田んぼしか見当たらない村では、ひと際目を引いた。朝から黙々と仕事の用意をする裏では、母親がバスの窓からポラロイドカメラで息子の雄姿を撮ろうとし、息子に嫌がられる。母親が撮る写真はいつも、彼女の夫でチャングクの父親の元へと送られた。だが父親に届くはずの手紙はいつも、「address unknown」の文字と共に、受取人不明で戻って来た。

 映画はチャングクと、おもちゃの銃で右目を失明したウノク(パン・ミンジョン)と彼女を秘かに愛するチフム(キム・ヨンミン)とを奇妙なトライアングルで結ぶ。雁字搦めのようなこの村で、3人はそれぞれの問題を克服し、一人前の大人になることを夢想するが、八方塞がりで袋小路なこの村のヘドロに文字通り、足元を搦め捕られる。人間の2つ在る左右の目は、左右対称で現実を正しく見るために存在する。最初、ウノクの目が片方ない時にその目の代わりを演じたのは紛れもなく「犬」だったし、彼女とバター・ドッグの痴態を目撃した幼馴染のチフムだったはずだ。しかし女が米国兵に恋した瞬間(片目を再建する可能性を探った瞬間とも同義語だが)、彼らの役割は無効化する。LSDの白い錠剤でラリった女の手には、確かに犬が横になりながらしっかりと抱かれていたのに。

 自身を去勢出来ない男たちにとって、銃や弓やナイフや絞首刑の針金を持つことは自殺行為でしかない。男は自分自身を去勢出来ない代わりに、女の乳房を切り落とす。しかし女の地獄を這うような呻き声を聴いて、男は平常心ではいられなくなる。半狂乱の地獄絵図と化した今作にはっきりとした救いはない。然しながらここには三者三様の心模様と、それを見守らんとした親たちの叫びがこだまする。匍匐前進の途中、起き上がってしまった男は「そんなに戦争が好きなのか?」と叫ぶが、権力と組織の論理に売国奴と糾弾され、虫けらのように扱われる。そんな彼を祖国の英雄は俺が殺したと自慢して憚らない。ノミ以下の虚勢は所詮は虚勢でしかないし、命を失ってしまってから届く便りには何の意味も価値もないのだ。
まぁや

まぁやの感想・評価

3.0
『あらすじ』
1970年代。米軍基地を抱えた町の閉塞感と人々の暮らしを描いた物語。混血児のチャングクは、米兵の娼婦をしていた母と町外れの廃バスの中で暮らしている。母の愛人のパシリのようになって、犬を殺し、肉を食堂へおろす仕事をしているが、、

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朝鮮戦争が休戦状態に入ったのが、1953年7月以降。この物語は、それから20年以上経過した韓国の農村地帯を描いている。キムギドクの写し出す韓国の風景は薄暗く、重く、人々の閉塞感が空気に溶けだして滲んでいるように感じる。

チャングクは、混血として近所の青年たちから苛められ、母を慕う男からもライバルのような目線で暴力を受ける。

わたしは、国特有の文化を重んじたいので、その土地の習慣として、犬が食されていても、違和感なく受け止めることができる。それは私たちが鯨を屠る食文化を持つのと同じことである。

この映画で異様な気持ち悪さに襲われるのは、命に対する敬虔な思いがなく、残虐非道な仕打ちで犬たちを殺すからだと思う。。とさつのためだけならば、バットで犬のからだをめった打ちにする必要は微塵もない。男の閉塞感や、得たいの知れない怒りが、とさつの名目を持ちながら、憂さを晴らす手段として、弱いものたちに向けられているから、気持ちが悪くなるのだと思う。

命に対する軽率さは、その他人物達の行動にも現れる。その背景にあるのは、やはり朝鮮戦争が残した大きな傷跡と、終戦ではなく、休戦態勢という緊張感がそうさせるに違いない。

少女は兄の戦争ごっこの犠牲になり左目に障害を負った。その事で少女は深く傷ついているが、兄は微塵も自責の念を感じない。兄だけでなく、多くの人達が殺伐とした暮らしのなかで他者を思いやるという気持ちを奪われている。

さらに、日常の風景の中に米軍の実地演習が繰り返されるのも異様さを盛り上げる。
通学路で米兵隊が抱腹前進を繰り返すなんて、、それが日常になると、気がつかないうちに狂気におかされるのは仕方ないのではないか。少女の左目の治療の取引として、恋人関係を結ぼうとする兵士。
まるで、米軍が農村地帯に基地を作り、そこで生きる人々の暮らしを犯している。その現状と同じじゃないかと見ていて感じた。

混血である惨めさから、チャングクは人々から受ける仕打ちを甘んじて受けてきた。だが、抑圧から解放されたときチャングクは本来の優しさと力強さを発揮する。残念ながらそれは、怨みを返上する方向に繋がってしまったのだけど、、。
彼のような生まれ落ちた時点で苦しみを背負った人生を思うとき、どうすればその負の力に飲み込まれずにすむのか、考えてしまう。

物語は残酷さと悲劇に満ちていて、できるなら目を背けたい。だけど、これはフィクションではないよね。と思う。戦争によって狂わされた心と体を引きずりながら、一日一日を生き抜いてきた時代があった。と思う。

そして、それはあらゆる国で継続して続いている現実でもある。

追記:
キムギドク監督の訃報を知りました。
監督の描く世界観に魅了されたり、驚きを感じたり。。
様々な世界を見せてくれました。

色とりどりの作品を残してくれて、
感謝します。
ありがとうございました。
追悼 キム・ギドク。
で、もう一度。
チャングク···娼婦母と黒人兵の間に生まれたハーフ。バスで母と二人暮し。母の愛人犬商人のもとで働く。あたおかな母をよくぶん殴り愛人に倍返しされる。
チャングク母···帰国した(捨てられた)夫に20年間手紙を送り続けいつも受取人不明で戻ってくる。いつか自分たちを迎えに来てくれると信じているキ印女。
ウノク···子供の頃兄お手製の銃で右目視力を失う。マブダチは愛犬。父は朝鮮戦争で戦死、その年金で暮らす。
ジフム···貧乏のため高校行けず。肖像画専門店で働く。不良によくいじめられカツアゲされる。ウノクのことが大好き。父は朝鮮戦争で負傷し年金暮らし。
ジェームス···ホームシックラリパッパヤク中米兵。ウノクのことが大好き。

197?年、米軍基地のある村
本日もお手紙返送→だがまたお手紙出す→私もうすぐアメリカに行くので会話は英語→ここは韓国じゃ!韓国語喋れや!買い物拒否られる→The 韓国の女、髪の引っ張り合い喧嘩→チャングク、母をバスに連れて帰りぶん殴る。

ジフム、ウノクに絵をプレゼントするが破かれビンタくらう→村のジジイども弓矢遊び→ジフム父、名誉の負傷自慢。
ウノクの愛犬、不良に盗まれる→困った時のジフム、犬探し頼む→不良、犬売り失敗→ジフム、犬救出→犬届け帰ったフリをし覗き→ウノク、犬で...

チャングク犬殺し仕事拒否り、母もぶん殴ったことから犬商人にボコられる→逃亡→が、戻る→またボコられる。

2コ下の不良にいじめられ、カツアゲされるジフム→チャングク助けた風(金は奪われ殴られた後なので助けておりません)なんかあったら俺に言え!!→2人でウノクの部屋覗く→パンツ脱ぎ...ワンちゃんを...→ウノク覗きに気づき、覗き穴鉛筆でぶっ刺す→チャングク目負傷し、帰宅→ジフムはビニールハウスでビニ本→ウノクもビニ本参戦し、エッチな気分に→不良がやって来る→ウノク襲われ、ジフムはボコられる。
ジフムお手製の銃で復讐→自分の目負傷→3人は右目負傷でお揃っち。

ジェームスにナンパされるウノク→変な薬を託される→飲んじゃう→ラリパッパ状態で帰宅。
ジフム父、飼い犬売り飛ばす→お肉にされそうになり逃がすチャングク→犬商人逃げるワンちゃんを弓矢で狙い撃ち→矢犬逃げ切る。が...我が家に帰り死亡。
チャングク色々やってもうたので職を変える→ウノク父、戦死でなく北に逃げとったのが発覚、年金打ち切り。ウノクは妊娠発覚→ウノク兄、早とちりでジフムをフルボッコ。

中絶するが退学処分→ジェームス、目を治してやるから恋人になれと交際申し込む→ジェームスの恋人になる前に1回抱いてくれとジフムに頼む→米軍病院で目の手術→完治→ジフムに会いに行くが無視される。
ジフムまたカツアゲされる→お助けマンチャングク登場→英会話バトル!!→アメリカかぶれの不良、英会話バトルに敗れボコられる。
新しい職場で財布泥棒の濡れ衣、母は野菜泥棒&村人と喧嘩...怒りMAXのチャングク、母をボコし、おっぱいのタトゥーを切り取ろうと包丁持って追い回す。ジフムが止めに入る。そこに犬商人。チャングクぶん殴り、息子を殴るなと犬商人をぶん殴る母。もう暴力の連鎖っス...
まだまだ終わりません。
チャングクは犬商人の首に縄をつけ、それをワンちゃんたちに引っ張らせる。母おっぱいタトゥーも切り落とす...そしてバイク暴走させ田んぼにダイブ!!まさに犬神家状態、地面にぶっ刺さる...母はチャングクを探し回り、犬神家チャングクを発見...大号泣。地面から引っこ抜き亡骸をバスに運ぶ...ヘビー級の愛、我が息子をチョコチョコ食いする母...
こちらも愛、重っなジェームス、暴れまくりパニック!!そして弓矢愛好家のジジイ達出動!!紛れてジフム。ジフムの放った矢、ジェームスのおチンにメガヒット!!ここからは、まともだと思われたジフムが大暴走いたします...

もう愛が重たすぎて...鬼畜大運動会!!
こってりカロリー高っな映画でした。

色々やらかしたキム・ギドク監督でしたが...本当に残念です。
貧困、暴力、歪んだ性描写。のっけから目を背けたくなるエピソードの連続で、ここまで残酷なものを見せる必要があるのか疑問を抱きつつも何故かリタイアできなかったばかりか時折心を抉られてしまった。
キム・ギドクはいつも、人として失ってはいけないものを手放すことでしか生きられない人間たちと、彼らがそうせざるを得ない社会の歪みを怒りと哀しみとともに描き出していると感じる。
2001年のキム・ギドク監督作品。
1970年代、米軍基地に翻弄される3人の若者を軸にした物語。朝鮮戦争の爪痕が色濃く残る背景が印象的。一人一人のアイデンティティーが否定されていくのがやるせないし、その中でも何一つ成すことができないチフムの悲哀の強烈なこと。後半は3人だけじゃなくて家族までも追い詰めていくキム・ギドク監督が本当に恐ろしくなる。あまりにも救いがないラストに目を覆いたくなるけど、片目の3人が並ぶ、あの画は傑作でした。

もうキム・ギドク監督の新作を見ることができないなんて堪えられない。
ちろる

ちろるの感想・評価

4.1
コロナ死の中でもある意味1番の衝撃だった昨日一報の入ったキム・ギドグ監督の死。

まだ、8作しか観てないけど、かなり好きな作品から、反吐が出るほどの胸糞な作品まで幅広くあって、必ず「すげーな」か、「やべーな」という言葉を出してしまう奇才。
個人的にはポン・ジュノ監督よりも好きだし、これからも作品を楽しみにしていたのに悲しい。
ご冥福をお祈りします。

母親の胸に刻まれた愛の固執は、混血の息子の平穏を奪い。
積み重なる犬殺しの罪はやがて青年の心を蝕む。
いじめられっこの青年の儚い恋は、米国に支配されて終わらない苦しみのスパイラルがこの街にはまだまだ蠢いている。

逃げ出したい、吐き気がする、そんなシーンの連続で、これこそがまさしくキム・ギドグらしさなのだけど、犬を抱きながら観るにはなかなか覚悟のいる作品。

他の作品では登場人物が変態性、異常性に陶酔するのが多く、それをこちら側が苦しみながら覗き見る感覚の物語多いキム・ギドグの作品ですが、
これはその彼ら自身が逃げ出したいほど苦しんでいる事。
故に救いはない。
毎回心に血を流すようにキム・ギドグの作品を観る自分はドMなのか?
万人受けすることもなく、どっぷり湿り気のある韓国の空気の中で、追い詰めていくあの世界観はもう新しく生まれないのかと思うと残念です。
kanekone

kanekoneの感想・評価

3.8
どこまでも閉塞感のある鬱々とした展開。死に方などにキム・ギドク監督のらしさを感じる作品。
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