溝口健二特集。
場内では、すすり泣きが聞こえた。
序盤は、極端な男性のエゴ/女性の慎ましさに辟易していたけど(明治時代なので仕方ない)、
ラストのお辞儀のシーンで完全に面食らってしまって、動揺でしばらく席を立てなかった。
これは邦画史どころか映画史に残るレベル。
お徳には自分の境遇や家柄のせいで菊之助の将来を台無しにした罪悪感もあり、菊之助をこんなところでくすぶらせない!!!っていう、三歩下がったやまとなでしこでは収まらない"女の意地"が見えた。
ただ、菊之助の芝居のどの辺りが大根なのか、それをどうやって克服したのかといった"芸事の成長"に関する描出が少なくて、「ポテンシャルと家柄だけで成り上がった男」に着地してしまった。。
お徳は菊之助を「男性」としてではなく、「推し」として愛し抜いたと説いたこの記事に共感。↓
https://www.pintscope.com/serial-story/zangikumonogatari/
菊之助の演技をまともに見ていられなくて、奈落の神棚にひたすら祈り続けていたお徳。一瞬でも失敗しろとは思わなかったんだろうな。
推しは、添い遂げるものではない。