あしからず

残菊物語のあしからずのレビュー・感想・評価

残菊物語(1939年製作の映画)
4.0
節句を過ぎた菊とて手を尽くせば尚美しく咲き続けるように、献身的な女の支えで芸の道に開花する歌舞伎役者の身分違いの悲恋。
長回しとドリーショットで表現される日本美にくらくら。小津安二郎の徹底して作り込まれた場とは対極のリアリズムに震える。陰影が天才的で特に1人で部屋で俯くお徳のやつれた顔を覆う影がすごい。照明が神。
また冒頭で挿入される風鈴の音がいい。太鼓や祭など画面外の音の使い方も特徴的。
カットバックで作品の終わりも同時に意味するような菊之助のラストの所作、からのタイトルというのも完璧すぎた。

どうでもいいけど風鈴の屋台っていいな。
風鈴屋さんになりたい。
あしからず

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