コーヒーマメ

ブレックファスト・クラブのコーヒーマメのレビュー・感想・評価

ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)
4.1
学校内にはびこるスクールカーストを初めて描いたといわれる本作。
驚くことに、舞台は二時間ずっと図書館!w
悪事を働いた学生達が補習に呼ばれ、「自分とは何か」について一日を費やしてレポートを書くよう指示される。
生徒たちは勿論書くわけもなく、暇をもてあまし、話したことさえない同級生と互いに心を通わすようになる。
きっと、この補習がなければ、同じ学校に通ってるのに一生交わることはなかったであろう五人の高校生。
スクールカーストのトップ層から底辺まで、全員がタイプの異なるキャラクターを持っている。
図書館で延々と繰り広げられる学生たちの会話劇。
日本でも作れるほどの低予算だろう。
しかし、この五人に匹敵するほど説得力を持った演技ができる若手俳優たちと、密室での物語に飽きないよう絶妙なカメラワークの数々を構築できる監督はいないと思う。
(選ぶとすれば、スポーツマン=東出昌大、お嬢様=広瀬すず、秀才=須賀健太、不思議ちゃん=二階堂ふみ、不良=菅田将暉、監督は行定勲)

学生は、他人から見られるイメージと、自分が思う本当の自分との狭間で悩み、苦しむ。
まず、本当の自分がわからないからだ。
その正体を模索するには、学校という監獄はあまりにも狭すぎる。
そこから抜け出し、自由を獲得しようとする。
学生の日常なんてそんなもん。
本作に登場する高校生はそれぞれ、親や教師、そして、理想と実際の自分とのギャップに悩む。
他人にとっては、大したことない悩みでも、当の本人にとっては、命と等価だと思えるくらいの大問題だったりする。
そして、立場の異なる自分たちはそれぞれ、学校という名の社会で対等に交わることはあり得ないという冷たい現実を確認する。
互いに相手のことを本気で理解しあおうとしたことで生まれた軋轢が残酷なまでに描かれ、胸が締め付けられた。

学生の群像劇というシリアスになってしまいがちなテーマだが、至るシーンにコメディ的要素が含まれていて、めちゃくちゃ楽しめた。
一人一人の特徴や性格に合わせた描写が多いので、より素直に笑える。
とりわけ、昼食シーンはギャグのオンパレードだった。
日本人でも、あんなふうにはお寿司を食べないわ。w
個人的に好きなのは、不思議ちゃんがスケッチの仕上げに自分のフケを落として、雪に見たてるシーン。
めちゃくちゃ斬新。てか、フケの量おかしい。ww

果たして、彼らは月曜日に会うと互いに笑顔で挨拶し、友達として接するのだろうか。
どちらにせよ、この一日は彼らにとって大きな財産になったに違いない。