ともぞう

人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇のともぞうのレビュー・感想・評価

3.0
大作だとは思うが、時代背景もあり違和感が。主役の仲代達也が自分だけが正義の味方ぶって、空回りしてるようにしか見えず。もっと上手く立ち回る方法はいくらでもあっただろうに。また、あの時代に軍部に楯突けば、ああなるのは分かりきったこと。わざわざ拷問を受けに行ってるようで、同情よりも呆れてしまった。あれでは周囲と奥さんが可哀想。

〈あらすじ〉
◇第一部(純愛篇):昭和18年の満州、梶(仲代達矢)と美千子(新珠三千代)の夫婦をのせたトラックは老虎嶺鉱山に向けて走っていた。満鉄調査部勤務の時に知合い、結ばれた2人は、友人の影山少尉(佐田啓二)の勧めで労務管理の職につく梶の任地に行くのだ。戦争に疑いをもち、妻を愛する梶が、召集免除を条件に自ら選んだ職場が、そこに彼を待っているはずだった。しかし、現地人の工人達を使って苛酷な仕事を強いる鉱山の労働条件は、極度に悪かった。現場監督の岡崎(小沢栄太郎)一味の不正に対抗し、同僚沖島(山村聡)や部下の現地事務員の陳(石浜朗)の助けをえて、梶の苦闘がつづく。折から上部より2割の緊急増産の指令とともに、北支から600名の捕虜が特殊工人として送りこまれてきた。半死状態の捕虜たちは電流を通じた鉄条網の中に入れられ、労働意欲を駆り立てるためと称して娼婦をあてがわれた。工人の高(南原伸二)と、娼婦の楊春蘭(有馬稲子)の愛が芽ばえたのは、そんな条件の中でだった。一方、朝鮮人の張命賛(山茶花究)は、娼婦の金東福(淡島千景)を使って、工人を脱走させる仕事で甘い汁を吸っていた。真面目な陳を金東福の色じかけで手中に入れ、弱点を握って鉄条網の電流を一定時間止めさせるのだ。牟田(永田靖)や古屋(三井弘次)が日本人側からこれに加担していた。特殊工人と話し合って、現状での最善の状態を作ろうと努力し、梶は2割増産を達成させた。しかし、楽しみにしていた美千子との休暇は、張一味による脱走事件の発生で中止となった。
◇第ニ部(激怒篇):張一味と結んだ古屋は、梶を妬んで再度の工人脱走を企てた。だが、陳は良心の苛責から、3300ボルトの電流の通じる鉄条網に自ら身を投じて死んだ。現場監督の岡崎の非人間的な態度は、特殊工人の反感を買い、ある時、高をはじめとする7人の抗議事件をひきおこした。憲兵軍曹の渡合(安部徹)の手で、7人は日本刀による斬首の刑に処されることになった。1人、2人と残虐な処刑が進行するうちに、それを見る梶の心理は激しく動いた。特殊工人たちの喚声の中で、遂に梶は「やめてくれ!」と声をあげて叫んだ。処刑は中止された。しかし、そのあとには、軍部に反抗を企てた梶に対する、恐るべき憲兵隊のリンチが待っていた。そして、半死半生で釈放された彼につきつけられたのは、現職免除の命令と、臨時召集令状だった。
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