あさ

マイ・フェア・レディのあさのレビュー・感想・評価

マイ・フェア・レディ(1964年製作の映画)
2.3
ふっざけんなよ…が最終的な感想です。

時代がどうあれ暴力的すぎるミソジニー、ルッキズム、階級差別。流石に見苦しいレベル。演者や作りが素晴らしくてもこの作品を今高くは評価できない。とはいえ、脚本家のバーナード・ショーは階級社会や男女格差にも通じていたので風刺批判もたっぷり込められてるものだと信じて。でもここで大文字にして言いたいのはこれがアメリカの、ハリウッドのミュージカルだから!!!!!!
(そもそもアメリカ人のブリティッシュ英語を聞き続ける苦痛も酷い。)
とんだ偏見かもしれないけれど、これを見ただけで戯曲がどんなもんかは判断できないのだと思わせておくれ。少なくとも何も知らない今はこれは60年代ハリウッドが生み出した『マイフェアレディ』だって信じたい。でも違ったら教えて……。家帰ったらバーナード・ショーについて調べる…。

後半ようやくイライザが逞しく気丈になるものの、オチでオナニーされちゃたまらん。お前が悲劇のヒロインかよ。5ポンド(ペンス?)で買った女の子に"教えてあげて"、散々DVしといてそりゃない。本当に精神的に見るのが辛くて、父ちゃんとヒギンズの歌後半飛ばすとこもあった。

"glorious creature" "creature got nerve"
褒め言葉も貶し言葉も訳出までされないけれど、イライザはずっと"creature"とか、男が「作り上げた生き物」として呼ばれている。結局は男性なしでは生まれ得なかったモノ、この先も生きていけないモノとして。
そりゃあコヴェントガーデンの花売りは労働者階級の下の下だよ。しかし、しかしだよ。人間なんだよ。Middleclass morality 「中流階級の道徳」父ちゃん、あんた娘にタカり続けて、人から金貰ってスーツを着てるのは自分なのに「昔は自由で良かった」だの「人からタカられるだけの人生になった」は救いようがねえ。あなたの言葉は信じたくないけれど、実際中流階級の苦しさ自体は否定できない。

ヘプバーンの映画が若干苦手に思うのは彼女の美しさが全面に売りに出されすぎて、本当にお人形さん扱いになってるところ。でもその点で言ったらこれはぶっちぎりだわ。こんなにイライラするなら見るの途中で止めようかと思ったけど、実は学生時代も挫折して途中でレンタル返したんよ。今回は頑張った。でも本当に、いくら何でも今これを評価したくない。
あさ

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