ヨーヘイ

市民ケーンのヨーヘイのネタバレレビュー・内容・結末

市民ケーン(1941年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

【あらすじ】

豪邸ザナドゥに住む新聞王チャールズ・フォスター・ケーンが死の直前に発した「バラのつぼみ」という言葉。
新聞記者トンプソンはチャールズ縁の人物達に取材することで、この言葉の真意に迫っていく。

チャールズの人生は、母親が不意に手に入れた金鉱山利権により大きく揺れ動く。
母親との別れ、後見人への反発、莫大な富の相続を経て、彼は買収した新聞社での報道を通して市民権の擁護者となることを宣言する。

新聞社は成功を収めるも、仕事を重視するあまり結婚生活は破綻していく。そして、彼の富への反発心からくる弱者擁護の姿勢は次第に傲慢さに変容していく。

州知事への立候補、不倫スキャンダル、落選、離婚と築き上げた名声は失われる。
不倫相手と再婚するも、その傲慢さ故に二度目の離婚に至る。

トンプソンは結局「バラのつぼみ」の真実には辿り着けず、恐らくかつて失った何かと結論づけ取材を終える。

物語の最後は、膨大な遺物の中に紛れた「バラのつぼみ」が描かれた幼少期の思い出のソリが焼却処分され、豪邸は閉鎖されて幕を閉じる。

【感想】

世間は彼を全てを手に入れ、全てを失った人物と評するが、実際には莫大な富だけは残っている。

袂を分かったかつての親友はケーンを愛を求めるが、愛を与えることのなかった人物と評した。

ケーンは富を得て、愛を失った人物である。
彼が死の間際に思ったのは、愛を失う要因である富を得たことへの後悔だったのではないか。

そう考えると若かりしケーンが口にした、「金持ちでなければ、偉大な人物になっていただろう」という言葉、それが彼の最期の思いだったのかもしれない。

本作が史上最高傑作とも評されるのは、当時としては斬新な構成や撮影技法の評価も含まれているのだろうが、それを抜きにしても素晴らしい作品に違いない。
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