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シン・レッド・ラインのKBのレビュー・感想・評価

シン・レッド・ライン(1998年製作の映画)
3.0
詩のような描写。生と死、善と悪、人間の過ち、愚かさなどを、登場人物の語りと映像美で表現するという、観たことのない戦争映画でした。戦場にいた兵士たちの心の声を聞いているようで、人間の心情描写が見事でした。アクションが観たい人にとっては少し時間長く感じるだろうけど、観る価値はあると思った映画です。

☆舞台は1942年、太平洋戦争でのガダルカナル島の戦い。同じ隊の兵士たちは戦争の恐怖を抱えながら、決死の攻防戦を行う…という話。

映画の軸は、美しい自然、動物、そこに長く暮らし続ける先住民たち。そこがいつからか、一瞬にして血で血を洗う人間同士の殺し合いの場にしてしまっているという、人間の残酷さ。

最初は人間と自然が共生し、調和を保っていたが、一度戦闘のシーンが始まると何もかも破壊し尽くされてしまう。
最中にいる兵士たちは、自分が生き残るために必死で、恐怖に怯えながら、ある者は権力を振りかざして部下を罵倒しながら、目の前の敵を殺しまくっていく。

けど、急に攻め込んできた外敵=人間を自然界はちゃんと見ていて、早く出て行けと言わんばかりに静かに佇んでいる。戦闘シーンで、フクロウやらコウモリがめちゃ大量発生する映像とかまさにそうだよな、と。なんか、ジブリのもののけ姫とかナウシカ観てるみたいでした。

結局、自然という大きな歴史の中で、人間の歴史ってほんとにちっぽけな存在。その中で戦争っていう愚かなことをしてるんだと感じられました。
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