ろくすそるす

スウィッチブレイド・シスターズのろくすそるすのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

『残虐女刑務所』やパム・グリア主演の『コフィー』、『フォークシー・ブラウン』など多種多様な映画を撮った「エクスプロイテーション界のハワード・ホークス」(Byタランティーノ)として知られるジャック・ヒル監督による「不良性感度」のズベ公ものの秀作。日活の「野良猫ロック」シリーズ、東映の女番長ものにも似たやさぐれの雰囲気に、まず惹かれる。

 主な筋は、ドミニクと彼の女であるレイス率いる不良集団「ダガーズ」と表向きには福祉活動をしているが、裏でヤクを売りさばく偽善者集団の「クラブス」という二つの不良グループ同士の抗争劇である。
 そして、「仁義なき」闘争へともつれ込んでいき、マギーという美しき不良女が新入りとして現れたことから「ダガーズ」勢力の内部では、彼女を妬む碧眼の娘パッチ(絶対『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ』に影響受けてる!)による恐ろしい策謀が展開される。

 彼氏であるドミニクが陰で自分を物笑いにしているとも知らず、彼に純愛を誓って(彼の子を妊娠している)裏切られ、取り巻きのパッチに上手く利用され、マギーを逆恨みしてしまうキンキン声の不良女、レイス(ロジャー・コーマンの『ビッグ・バッド・ママ』での次女役で知られる童顔のロビー・リーが好演!)。
 新顔として街に現れ、ドミニクを意図せずして夢中にさせ、やがては組織から役立たずの男どもを追い出し女性だけの武力組織「ジェザベルズ」を立ち上げ、絶対的なリーダーとして立脚していく、マギー。
 この対照的なWヒロインの最後の斬り合いは、胸に突き刺さるような、どこか見ていなられない心境になってしまう。それが避けられるべき悲劇的な対決であったからだ。
 マギーの知人である黒人女性ギャング集団が、大量の銃器を活用し、クラブス一味と町中で銃撃戦を始める場面の迫力は特に見所(派手なドンパチをするアナーキーさは凄まじく、装甲車まで出撃するわで、もはや戦争映画である)。

 ちなみに、日本版VHSは、タランティーノによる激押しコメントと寸評(彼によると本作の内容はシェイクスピアの『オセロー』を踏襲したものになっているという)が収録されているため、本当に豪華であった。