わたなべ

PASSIONのわたなべのネタバレレビュー・内容・結末

PASSION(2008年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

何か小さなゆらぎが大きな揺らぎにつながっていくのではないかというコミュニケーションの緊張感とその揺れの共鳴。
冒頭の6人の会話やその後の友人宅での4人の会話など、常にある種の緊張感が走っており、表情や声色を通して、それが伝えられてくる。
多人数の会話を小気味よく切り替え、表情を見せる場合と長回しで密度を持った語り、声を届けていく使い分けが妙だった。

光るフリスビーもよい。

人を愛することと身体についての話だろうか。

人との関係性において、関係を持つ持たないなど、あまりにもsexの話に終始している気もして、そこは果たしてどうなのだろうかという気もした。
真実を語るゲームなどでも、あまりにも直接的に、野暮に踏み入っていく様が、人間関係の直接的なゆらぎを生み出しており、作中の「暴力」の言及もさることながら、作品それ自体が少し暴力的であるように感じる場面もあった。

が、その後の濱口さんの作品を見ていると、肉体関係はあくまで心の関係を表す可能性の一つやそれとは別のコミュニケーションの一つの形として捉えられていることがよくわかるので、そういう意味で、大学院の修了制作であるこの作品が、必要以上に直接的に肉体関係に言及されながら、コミュニケーションが展開されていくというのは、その後の取り組みや作品につながっていく手触りだったのだろうと感じることができた。

知り合いが濱口竜介は、男女関係をsexに持って行こうとするので、ちょっと無理な所があると言っていて、その時はそんなことないのでは?とおもったが、初期の頃は今よりも少し直接的な表現が多いからかもなと感じた。

強烈に好きと感じるか、無理と感じるかが分かれそうな気もして、それもいい気がする。
わたなべ

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