Uえい

PASSIONのUえいのレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
3.6
濱口竜介監督が東京芸大の修了作品として作った本作。ユスターシュやドワイヨンを連想するほどのフランス映画的な会話劇で、これはすごい!占部房子がジュリエット・ビノシュに見えてくる笑

誕生日会に男女が集まる。タケシと妊娠中の妻。結婚を決めたトモヤとカホ。そしてケンイチロウだ。顔のアップで描かれる会話は、どこか不穏な雰囲気も醸し、この後のいざこざを予期させる。

誕生会がお開きになり、男性陣だけでケンイチロウの彼女タカコの家で二次会を開くことになる。そして段々、それぞれ本当に好きな人が違っていた様な、振る舞いと本音の違いが分かってきて、ギクシャクしてくる。

それぞれ、恋人や妻とは別の人への想いがあり、トモヤが本音しか言わないゲームをしようと言い出し、本心でぶつかり合う。これが儀式の様で、一段非現実的な箇所に身を置かないと本音を言えないのは日本らしいのかも。

室内劇をつなぐ様に存在するバスのシーンが良い。濱口竜介監督は静とそれをつなぐ移動の描き方が凄いんだなと感じ始めた。

夜が明けて帰宅したトモヤと、カホのダイアローグが最後にあるが、これが「ママと娼婦」のラストに匹敵する感覚になった。めちゃくちゃ好きな作品なので配信で見やすくなると良いなあ。
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