うらぬす

10ミニッツ・オールダー イデアの森のうらぬすのレビュー・感想・評価

3.1
原題は"The Chello" "The Trumpet"なのに、邦題は『イデアの森』『人生のメビウス』で、TSUTAYA DISCASで借りたディスクでは『GREEN』『RED』になっているというかなり謎めいたオムニバス映画。
『イデアの森』担当の監督8人中4人は名前も知らないけどたぶん実績のある人たちのはず……。でもそれにしては全然面白くなかったり理解に苦しむ作品がいくつか。自分の感性の鈍さはもちろんあるだろうけど、テーマと時間の制約を与えられて監督らがクリエイティビティを十分に発揮できてないのでは。
以下、各作品のスコアと感想。

▪水の寓話(3.6)
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
水(液体)が鍵となるエピソードを繋いで人生を描く発想が好き。良質な短編小説っぽさある。

▪時代×4(2.8)
監督:マイク・フィギス
実験的であるということそれ自体以外の面白さが発見できなかった。

▪老優の一瞬(3.1)
監督:イジー・メンツェル
映像と音楽はきれいだけど、抽象的な詩っぽくしたいのかちゃんと物語を描きたいのかよく分からなかった。

▪10分後(2.6)
監督:イシュトヴァン・サボー
なんの捻りもなくてつまらない。

▪ジャン=リュック・ナンシーとの対話(2.9)
監督:クレール・ドニ
ひたすら会話(議論)を聞かされるだけで、ビフォア・サンライズ的なユーモアも無いから退屈する。

▪啓示されし者(3.8)
監督:フォルカー・シュレンドルフ
虫の視点で不安定に動くカメラと、時間をめぐる哲学的考察の語りの組み合わせがなんだか味わい深い。『ブリキの太鼓』に通ずる雄弁さが随所に感じられる。結構好き。

▪星に魅せられて(3.0)
監督:マイケル・ラドフォード
21世紀に作られたにしてはやけに古びた未来観。悪くないけどアイデアが平凡。  

▪時間の闇の中で(3.3)
監督:ジャン=リュック・ゴダール
オムニバスを構成する一部として与えられた10分間のなかで更にオムニバス的なことをやっているこの監督はかなりユーモアセンスがあるかひねくれ者かの二択、または両方だと思う……。