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スパイのmareのレビュー・感想・評価

スパイ(1957年製作の映画)
4.0
スパイとド直球のタイトルではあるが想像するようなスタイリッシュなスパイ映画とは全く異なり、変人だらけで怪しい、誰も信用ならない正体不明の不条理に見舞われる伏線と欺きの連続でとても面白かった。行動心理が明確にされず次々とトラブルが襲いかかってくる異常事態にパニくる主人公、それを楽しむかのように暗躍する謎の人々、警告だらけのミッションの裏側、探すほど遠くに逃げていく真実に翻弄させられるような迷宮的快感がある。やかましいだけの電話の音も能天気なオカリナの音色も、前半と後半では全く別の意味のサイレンに聞こえてくる。まさかの終わり方もめちゃくちゃカッコいい。疲弊しきった心理描写を切り取る巧みな映像センスにただただ酔いしれるしかなかった。
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