叡福寺清子

イベント・ホライゾンの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

イベント・ホライゾン(1997年製作の映画)
3.4
製作費6000万ドルに対して興行収入2600万ドルという,誰よりも責任者が絶叫した本作.タイタニック公開の遅延でサマーシーズンにぽっかり穴が開いたパラマウントが,こりゃいかんと突貫工事で完成させるも,暴力的という理由で30分以上もカットさせたんじゃぁ,失敗しますって.準備不足の装備不足でウクライナの戦場に送られたロシア新兵じゃないんだから,もうちょっと考えてあげないと.

とはいえ,作品自体は決して悪くはございません.特に初期段階でアドバイスしたクライブ・バーカーの作風,つまりヘルレイザーっぽい舞台装置は健在で,コアとなる重力制御装置の禍々しさは一見の価値がございます.そして搭乗員が体験する地獄の風景は,まさにヘルレイザーの究極の痛みと快楽のアレ.できることなら,もうちょっと堪能したかったです.本来ならディレクターズカット版がDVDで販売されても良さげですが,前述したカットされた30分の映像はすでに廃棄済だったとか.どこまでも不幸な作品でございます.サム・ニールの特殊メイクや,若い頃のジェイソン・アイザック等俳優陣もいい塩梅なので,ただの失敗作で終わらせるにはもったいない本舗と存じます.

中途半端なエンディングで首を傾げましたが,実は生存者が救助船から眺めた地球の周囲を磁場制御リングがグルングルン回転してるっいう真のエンディングがあったはずと妄想している次第でございます.