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奇跡のakubiのレビュー・感想・評価

奇跡(1954年製作の映画)
4.5
命を刻む振り子時計の音が悠然と響く。灰色の空にむかってはためく純白のクロスは心許なく風に煽られる。信じる ということを忘れてしまったわたしたちはなんと儚く脆いのか。信じる  神  はそれぞれの胸のうちに在っても、いちばん信ずるべきなのは ひと(隣人) であり慈しむ心こそが、奇跡 を起こすのかもしれない。そんなことが潤んだむねにおちてきた。

「牧師さん、わしにはなにもわからんのです」
無垢な少女は信じることをしっていた。だからわたしは祈る。祈ることを信じる自分と、そしてひととひととが殺し合うことがいつかなくなることを、祈りつづけることは、けしてやめないでいたい。
「わたしたちの生命が はじまる」
ひとびとがまた、無垢な美しさを思い出しますように。サンタクロースを信じていたあのころみたいに。
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