都民スペイシー

奇跡の都民スペイシーのネタバレレビュー・内容・結末

奇跡(1954年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

すごすぎる。何度も見たい

丘上ではじめのヨハンネスによる口述が響く。闇の中にいるものは光が見えないと。そしてそれを照らしてあげようと蝋燭を窓に立てるヨハンネス。なんて献身的で健気なのだ。自分はいかに不遜で堕落していたんだと後悔する。なんで全て信じてこなかったんだ。最後にはその場を立ち去りたくなるほど震える。

インガーは寝ているだけだと言い、神をその場に感じ取る様を医者の去って行く車のライトで表現する運命論的な神秘さ。妻の死を思い、時計を止め、兄弟の幸せに安堵して始めて泣くことができた兄も素晴らしい。演劇的なカメラワークはこの物語の力強さを感じさせる。さらに少しずつ現代宗教観に近づいていく農村というベストな塩梅の設定でこそ炸裂する。子供が最後に笑うところも天使のようだ。言い足りないほど良い作品だった