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カンパニー・メンの3110136のネタバレレビュー・内容・結末

カンパニー・メン(2010年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

価値観の変化、そして再起。
スランプ中の人は見て損はないかも。そして周りにスランプ中の人がいる人もぜひ見てほしい。


タイトルのとおり《カンパニー・メン》、つまり企業に勤める男たちの物語。ただし、サクセスストーリーではなく、不況をきっかけに長年勤めた会社から解雇(リストラ)されてしまった男たちの物語です。

少し切なく、そして、あたたかい映画。

ベン・アフレック、トミー・リー・ジョーンズ、ケビン・コスナー、有名どころが出ています。みんなカッコいい。特に、ケビン・コスナー良かった。


●あらすじ
多数の事業を展開する巨大企業GTX社、造船事業部門でエリアの販売部長を務めるボビー(主人公、ベン・アフレック)。年俸は15万ドルを超え、ポルシェに乗り、美人の妻と2人の子供と大きな一軒家に住む。週末は会員になっているゴルフ場で過ごす。ボビーそんな誰もが羨む生活を手にしていた。

そんなある日、2008年リーマン・ショックを発端とする不況により、12年勤めてきた会社から余剰人員として突然解雇されてしまう。ボビーは納得がいかなかった。ずっと一緒に働いてきた上司のジーン(トミー・リー・ジョーンズ)も為す術がないようだった。

自宅に帰り妻マギーに報告すると「私も働くわ、切り詰めてやって行きましょう」と案外現実的だ。次の日からボビーの就職活動が始まる。支援センターにいる人たちは皆負け犬に見えた。「自分はすぐに新しい職場を見つけられる」ボビーはそう考えていた。

ところが再就職は思ったようには行かなかった。家計も徐々に苦しくなり、マギーは車や家を手放そうとボビーにいうが、ボビーの見栄やプライドが反発した。失業していることを知った義理の兄ジャックの「職に困ったら俺が雇ってやる」という心遣いも「自分には大工なんかやらない」と跳ね除けてしまう。

3ヶ月経っても全くオファーはなく、ボビーは自信を失っていった。そんなある日、ゴルフの会員権を巡りボビーとマギーは口論になる。いつまでも過去を引きずるボビー「逃げているのは分かってる、俺には何もない、37歳で無職、家族を養う力もない」。そんなボビーにマギーは「あなたを求める人はいるわ、あなたには私も子供も両親もいるじゃない、私がついてるわ」そんなマギーの姿勢にボビーは気持ちを改めていった。

ポルシェを手放し、家を手放し、そしてジャックに働かせてもらえるように頼んだのだ。プライドを捨て愛する家族のために汗をかく。いざ働いてみると、大工の仕事は大変ではあるが、やり甲斐がある仕事だと思った。ジャックの性格や姿勢もそう感じさせた要因の一つかもしれない。少しずつ「こんな暮らしも悪くない」そうボビーは考えていた。職を失う前には気づかなかった大切な物を感じていた。

そんなボビーに辛い知らせが届く。時を同じくして解雇されたフィルが自殺してしまったのだ。フィルはボビーの先輩で60歳になろうとしていた。再就職のハードルは高く、人生を諦めてしまったのだ。そんなフィルの死をきっかけとして、ジーンは造船に対する自分の熱を思い出していた。

数日後、ボビーにジーンから「新しい会社を立ち上げる、手伝ってほしい」と連絡がある。「実は受けるべきか迷っているんだ」とジャックに話すボビー。「お前に大工は向いていない」と単刀直入にジャックに言われ吹っ切れたボビーは、ジーンの会社で働く事を決意する。


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こんな感じです。

私も勤め人なんですが、なんとなく共感できる部分があります。もちろんポルシェとか持ってないし、アパート暮らしですし、年収も全然低いですがね。

決して創業者のジェームスが悪いわけではない。全体を考えるとリストラは必須だった。もちろんジーンの言っている事も正しい。誰も間違いではないし、そもそも会社経営に絶対の正解なんかない。ジャックのセリフ「良い時も、悪い時もある。結果は最後に分かる」ですね、まさに。

とはいえ、12年尽くしてきた会社にいきなり解雇されたボビーも可哀想。憤るのも分かります。

この映画は会社経営の話ではなく、人の価値観の変化の話。


●価値観の変化
ボビーはポルシェに乗り、大きい家に住み、子供と妻に何不自由なく生活させ、週末はゴルフに行くことが《成功(または幸福)》だと思っていた。間違いじゃない。ところが、不況により一瞬のうちにその生活は継続不能になってしまった。

初めは受け入れる事ができなかったボビー。これも分かる。プライドがあったろう。そのプライドも今の成功の原動力になっていたろう、きっと。

ボビーは良い家族・親類に恵まれましたね。やっぱ、良い部分もダメな部分も共有できてこその家族よね。その点フィルは辛かったな。無職なのがバレると恥ずかしいから帰ってくるな、ですよ。(まさかうちも…ざわざわ)

ジャック(ケビン・コスナー)がカッコいいんス。「200ドル多い」「あれ、数え間違ったかな?」とかボビーやダニー(失業仲間)の仕事を確保するために赤字で仕事受けちゃったり。そのために一人で日曜日仕事してたり。あんな親方がいる職場は素敵だろうな。赤字続きでは困るけど…^^;

後は息子ね。ギクシャクするボビーとマギーを見て「離婚するの?」とかXboxを手放していたり。なんかこう、素直さが伝わってくるようでした。

マギーも良い妻。男性がちっぽけな見栄に囚われている間に、女性はタフだし現実的。頼り甲斐ある〜。男の方がよっぽど女々しいわ。

そんな周囲の人たちを見てボビーは少しずつ考えを改めていく。「初めての挫折じゃない」マギーに言われたとおり、今まで失敗らしい失敗はしてこなかったんだろう。そんなボビーが中々現実を受け入れられないのも十分理解できる。

「過去の栄光は食えねえから捨てろ」MY HEAT/tha blue herb

ジタバタしよう、足掻こう、決してかっこ悪くなんかないぜ。言うは易く行うは難し、だけどね。


●キャストが好き
キャスティングがとても素敵で、ベン・アフレック、トミー・リー・ジョーンズ、ケビン・コスナー。みんな良い。女性陣も良いです。マギー役のローズマリー・デウィット、サリー役のマリア・ベロ。

トミー・リー・ジョーンズもカッコいい。コーヒーのCMでしか最近見てなくて、あのイメージ強いけど。やっぱ渋いっすね。トミー・リー・ジョーンズが出ている映画を観るしかないな。★皆さまオススメお願いします。
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