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エレファント・マンのchaooonのレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
4.5
歪な身体を持ち、エレファント・マンと呼ばれた青年ジョン・メリックの悲痛な物語。
人間の内に宿る醜い部分を描きながら、同時に崇高な尊厳の在り方を感じずにはいられない。デヴィッド・リンチが描く重厚なヒューマンドラマ。

公開40周年、4K修復版にて劇場で再鑑賞✨✨
前に観たのはだいぶ前で、監督がリンチだったことも知らなかったんだけど、久々観たら、やばい…涙が止まらない…😭
こんなに心に刺さるとは、想定外。

デジタルリマスターで繊細に描かれる、白と黒の深み。
陰影に宿る人の善と悪しき欲望。
映像から伝わる凄みに息を飲む!
デジタル処理技術って凄いなぁ✨✨

母親が妊娠4ヶ月の時に象に踏み潰され、生まれた子供は背骨は曲がり、頭部は変形して肥大化、右腕は機能していない。頭が大きすぎるため、横たわって寝ることも叶わない。
それでも21歳まで、医療の力を借りず生き続けてきたメリック。
本来であれば彼の生命は奇跡ともいえる存在のはずなのに…。

購入したパンフレットにモデルとなった実在の人物ジョゼフ・ケアリー・メリックの写真が載っていたけど、映画ではその容姿をほぼ変わらぬ形で再現していた。

見世物で手痛い仕打ちを受けていたメリックに救済の手を差し伸べる医師にアンソニー・ホプキンス。
静かに深い眼差しでメリックを見据える姿が印象的!
そして若い!といっても40代か🤔
貫禄がある中にも、ちょっと色気も纏っていてかっこいい✨✨

体裁が変わっても、結局は人々の好奇の目に晒されてしまう無情さ。
彼を救ったであろう、医師のホプキンスも自分の行ったことへの正義を問うところがまた人間心理の深さで、ハッとさせられる。
人は本当に見返りなしに、善行を行えるものか…。

メリックに近く近く、心を通わせる舞台女優ケンドール夫人。
2人で朗読する戯曲がシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を使っているのも、私の琴線に触れてくるわぁ🥺





↓↓ちょっと結末に触れます↓↓


 








虐げられ、見世物として人々に蔑まれて来たメリックが得た、帰るべき家。
安息が訪れたのも束の間、人間の強欲に引きずられるメリックの悲痛過ぎる運命…。

心も体も極限まで痛めつけられ、絶望的な状況の中でも生きることを捨てなかった彼が迎える、人生の最良の日。
運命を選ぶ事が出来ず、ずっと人の目に怯えて生きてきた彼。
絶望の中でも生を諦めなかった彼が、その人生の絶頂で、初めて選んだ「人間」としての尊厳。

初めて今作を観た時は、なぜこの日に!?と思ってしまったけど、今回はそれが彼が持つ誰よりも崇高な魂のあり方だと思えて、凄く腑に落ちた。
あの日の彼は本当に幸せそうだった…😢
そして結末を知って観ていたので、もう終盤は悲しすぎて涙が止まらなかった😭



1977年にイギリスで戯曲化。
ブロードウェイでの上演ではデヴィッド・ボウイやマークハミルが主演を務めて、1979年のトニー賞でも、演劇部門での最優秀作品賞も受賞。

デヴィッド・ボウイの舞台に、作詞・作曲家のモーリー・イェストンがインスパイアされて、作られたミュージカルが『ファントム』
私の大大大好きなミュージカルでございます💖
心に響く感動は連鎖するのね🥺



新作もいいけど、過去の名作リバイバル上映にハマりそうだ🥺
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