柏エシディシ

ルナ・パパの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ルナ・パパ(1999年製作の映画)
4.0
特集上映「再発見!フドイナザーロフゆかいで切ない夢の旅」にて。
大好きな一本。初公開当時、恥ずかしながら告白するならば、チュルパン・ハマートヴァに恋をしてしまった。
"萌える""推し"という言葉なんか無かった頃だけれど、まさにそんな気持ち。
劇場は桜丘町にあった頃のユーロスペースだっただろうか。
映画館という名のタイムマシーンが、また、その頃に連れていってくれた。
年甲斐も無く、ドキドキワクワク観てしまった。

あの頃はすこしポカーンとしてしまった終盤の展開。
大国ロシアに翻弄されるタジキスタンや中央アジアの小さな国々が反映された物語だったのだと今なら理解出来る。
しかし、時代が移っても尚、この映画のメッセージが有効である事が、何とも悲しい。
ヒロインに引っ張られる様に躍動するカメラワークとファニーで生命力に溢れた音楽に、エミール・クストリッツァの映画に通じる愉しさを憶えた事も思い出す。
しかし西側諸国への反発からプーチンに接近していったクストリッツァと、侵略戦争を批判し国外へ逃れて活動を続けるハマートヴァの、それぞれの現在に考えさせられてしまう。
そして、フドイナザーロフが存命ならば、今、どんな映画を撮るのだろうか?とも。
柏エシディシ

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