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パンズ・ラビリンスの尻のレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
5.0
迷宮は、迷路ではなく、いわば巡礼の地である 様々な紆余曲折と絶望を乗り越えて自分を見つける場所なのだーーギレルモ・デル・トロ

この作品、現実パートとファンタジーパートの二つの世界が並行して描かれているので、現実パートに引っ張られてしまいますが、メインはファンタジーパートだと思っています

そしてこの作品においてのファンタジーとは、潜在意識への探究・内面世界への回帰であり、それを踏まえて観ると様々なメタファーや対比構造を発見できて面白いのです

現実パートでは直線・鋭い角度を多用し、色味は寒色で統一しているのに対し、ファンタジーパートでは曲線を多用し、色味は暖色(人体内部をイメージして赤や琥珀色)で統一されていたり

現実パートでの悪役(主人公オフェリアの継父ビダル大尉)とファンタジーパートでの悪役(子供を喰らうペイルマン)どちらの晩餐会シーンでも背後には燃え盛る暖炉が配置されていたり

主人公オフェリアへ向けられる
母カルメンの拒絶・分離
家政婦メルセデスの保護・献身
といった二つの母性…などなど、相反するもの(それはコインの表と裏でもあります)が視覚的に配置されています

そんな風に観ていくと、この物語の結末の捉え方も変わってくるのではないでしょうか
私はハッピーエンドだと思っています
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