かぴばる

パンズ・ラビリンスのかぴばるのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.5
 『ナイトメア・アリー』が来る前に、ギレルモ・デル・トロ監督の予習として。

 まずもって主演の女の子がとても良い。こんなにも妖精に誑かされそうな雰囲気の少女はなかなかいない。

 しかし序盤、これは大物ファンタジーの予感がするぞ、と観ていたらどんどん雰囲気がきな臭くなり、なんと戦争映画としての側面が見え始める。戦争による抑圧という現実的な側面と、妖しい守護者パンによる導きを受けたファンタジックな展開が交互に繰り返され、鑑賞者は大いに混乱させられる。なんなんだギレルモ・デル・トロ。どうしてどちらもこんなに真に迫って描けるのだ。

 結末に賛否、と聞いており、確かになかなか受入れ難い結末ではあったが、個人的には好き。なによりも、監督の描く妖精や怪物を見るためだけでも、十二分に鑑賞する価値のある逸品。