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パンズ・ラビリンスのnotitleのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
2.9
ギレルモさんが監督した有名な映画。
スペイン内戦をモチーフにした、ある意味ファンタジー映画といってもいいだろう。

監督がオタクなだけあって『千と千尋の神隠し』とか『となりのトトロ』っぽいシナリオではあるし、元々宮崎駿の映画はスペイン内戦をモチーフにした『ミツバチのささやき』が元ネタになっていたりするから、原点回帰にも見える。

映画としては、幻想の中のパンの造形や美術は確かにアカデミー賞に相応しい仕事で、ギレルモさんの美的センスはやはりずば抜けているものがある。

ただ、あくまで個人的には、もっとストレートに内戦を描いても良かったと思う。
子供の幻想と内戦の現実がシームレスに描かれていて、それが魅力といえば魅力なのかもだが、そのおかげで幻想と現実のどちらを主眼として描きたかったのかハッキリしなくなってしまった。
そのため、子供の幻想は「結局幻想でした」と矮小化され、内戦の現実は「そこで政権側と共和派が争った」というあくまでスペイン内戦の一般論に決着してしまった気がする。
スペイン内戦とは、一国の同じ民族がどちらの体制かによって醜く争った出来事であるため、例えば『ブラック・ブレッド』のような深い深い描き方もできたであろうに、残念である。
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