似太郎

恋のエチュードの似太郎のレビュー・感想・評価

恋のエチュード(1971年製作の映画)
4.5
【女(ひと)を思うこと🕯】

精神的に成熟した『突然炎のごとく』とも言えるフランソワ・トリュフォーお得意の三角関係モノである。主演のジャン=ピエール・レオが律儀な青年クロード氏を演じきっており、監督自身の人生観と恋愛観を浮き彫りにしている。

ウェールズの孤島が舞台という点がミソでもある作品。英国人とフランス人の感性の違いやカルチャーギャップも其処彼処に描かれており何かしら批評性を感じさせる内容だ。

トリュフォー作品の割に編集がかったるい(ゴメンナサイ!😖)ので、長尺を引っ張る吸引力に乏しく途中から物語に集中し辛くなる辺りがちと難点かも。かなり精神的に成熟した渋い恋愛映画。若い人がこんな大人っぽいラブストーリーを観て果たして共感できるのかな?

非常にモラルのある頑固な映画作家としてのトリュフォーの意外な一面を覗いた気がする。孤島の緑や木々や海辺を映し取ったアルメンドロスの撮影が美しい。もう少し尺が短ければ真の傑作になった事だろう。
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