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モンキーフィスト/猿拳のハンスウのレビュー・感想・評価

モンキーフィスト/猿拳(1979年製作の映画)
3.9
私は生まれてから小学校卒業するまで西武新宿線沿線に住んでたんですよ。だから映画に連れてってもらうときは当然のように新宿に行ってました。初めて入った映画館も新宿は歌舞伎町、そしてなんと、今は閉館してしまったキャパ1000以上のあのマンモス劇場、ミラノ座でした。なので、映画といえば新宿という選択が当たり前だったし、歌舞伎町以外も新宿のどの辺に行けば映画館があるのかだいたい知ってました。

ブルース・リーやジャッキー育ちの私はその他の香港映画にも興味津々で、ホイ三兄弟にまで範囲を広げてた子供だったが、ある日この「~猿拳」が公開されたので早速新聞の映画情報欄をチェックした。でも……新宿でやってないっぽい。床に広げた新聞をガキが四つん這いになって血まなこで確認してみたが、やってないっぽい……。唯一の公開劇場は池袋である。お隣を並走するように走る西武池袋線の終点の駅だ。いや、他でもやってたかもしれないが情報収集能力の乏しい子供だから当時すでに発行されていた(ぴあ)という情報誌の存在も知らず新聞しか頼る術がなく、仕方なく母にせがんで池袋に連れてってもらうことにしました。

しかし、まったく馴染みのない池袋という街はまるで外国のような未知の世界……新宿ではお茶の子さいさいだった映画館探しだったが、ここ池袋ではどこに映画館があるのかまったくわからないガキ……。街中、あっちへこっちへと母を引きずりまわしたが映画館は見つからず、歌舞伎町のような映画館が密集している場所があるものと安易に想像していた甘さを痛感させられました……。結局「モンキーフィスト 猿拳」は観られずじまい。

それから40余年(笑)、ケーブルTVのザ・シネマHDというチャンネルでやっと観ることができました。

その「〜猿拳」ですが、主役はユン・ピョウである。共演はサモハン、あとマースも出てます。初期ジャッキー映画でお馴染みのメンツがそろってます。ストーリーは初期ジャッキーの仇討ちものと同じ。

・強いヤツに身内が殺される
・師匠と出会って特訓
・成長する主人公
・満を持して対決

というあのストーリー。

ユン・ピョウというのは実はジャッキーより動きが俊敏で迫力のあるアクションができる人だと思ってたんだけど、でも映画の前半ではそんなことなく、思ってたより動きがノロノロだから勘違いだったかなと思った。でもそれは演技でノロノロを演じていて、成長後のシーンは思った通りのジャッキー顔負けのスーパーアクションを見せてくれた。

しかし、それにも増してスゴかったのはサモハンの方でした。ちょっとアクションをするだけで主役を食うほどの存在感を発揮して空気を変えてしまう力があるほどだった。あの体でユン・ピョウと同じくらいの速さで動くことができるスーパーマンになってました。これが本当にCGがなかった頃の映像なのか?と今となっては疑うほどです。今のハリウッドアクションは何?って思ってしまいました。

制作はデン、デン、デン、デンと印象的なロゴで始まるゴールデンハーベスト社。プロデューサーは大変お世話になったレイモンド・チョウさんでした。
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