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男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3.9
【寅さんフルマラソン47】
マーティン・スコセッシの
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で、
SELL ME THIS PENという
有名なシーンがある。

ブラックマンデーで、会社が潰れ
ウォール街を追い出された
ジョーダン・ベルフォートが
ヤクザな仲間を集めて
オークモント社を立ち上げる際に、
「このペンを俺に売ってみろ!」
と挑発する名シーン。

その約20年前
「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(47作目)」で
全く同じシーンがあったことをご存知だろうか?

社会人1年目の満男が、
営業上手くいかず
むしゃくしゃしていると、寅さんが
「俺と勝負しねぇか?」と言って、
「このペンを俺に売ってみろ」
と言うではないか?

丁度ベルフォートが、
オークモントを立ち上げた裏側で
アレが繰り広げられていたのです。
恐らく、流石の山田洋次も
当時ジョーダン・ベルフォートの
ことを知らなかっただろうから
偶然と言える。

無論寅さんは
ベルフォートとは違うアプローチで
ペンを売りつける。
ベルフォートの場合、
ペンのない人に契約書を書かせることで、
無理矢理需要を作り出す手段を取っていた。

一方、寅さんは昔話を語ることで
共通する経験価値を見つけ、
そこから縁を作り出すことでペンを売りつけた。

どちらも、相手との距離を詰め、
購買に至らせるのだが、
寅さんの方がスマートなのが
お分かり頂けただろうか?

「SELL ME THIS PEN」問題は、
今やチャラい企業、大企業(出版社、
エンタメ、広告代理店系で多い)の
採用面接でも使われるほど有名ではあるが、
解答のアプローチは多数あるので、
大学3年生は
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」と
「拝啓車寅次郎様」の
2本立てをしてみてはどうだろうか?
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