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エリ・エリ・レマ・サバクタニのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3.5
【閉塞感のあがきと音】
苦手監督に青山真治がいる。いまいち映画理論と面白さが自分のなかで紐づかないものがあって苦手なのだが、急に『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』が観たくなって挑戦してみた。

ガスマスクをつけた男が荒野を放浪する。彼らはゴムパイプを振り回したり、トランプを飛ばしたり、録音マシンを銃に見立てながら「音」を探している。疫病が蔓延する世界。先の見えない絶望に包まれる中、音を探す行為は救いとして描かれる。この音を探す行為が、車の移動と交差していく。映画において物語を運ぶ装置として「車」があり、本作では車の移動でもって絶望的な世界の中のもがきやあがきが描かれる。それだけなら、ありきたりで退屈なわけだが、自然にないようなノイズを探す冒険を並行させることでとたんに面白くなる。まるで『2001年宇宙の旅』のボーマン船長が観る光景のように未知と遭遇する衝撃があった。これは正直、劇場で観た方が衝撃度が強い作品だと思った。
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