このレビューはネタバレを含みます
正直内容的なものについてはどーってことない。そりゃ色彩は豊かだし美術装置なんかほんとすごい。でもやっぱ普通に見てたら「なんだこれ」感が出てくんのは当然至極だろう。でも私はそうは思わなかった。
何よりも、コッポラという監督の「意地みたいなもの」に泣く。スタジオ撮影の復権と80年代では衰退していた「ミュージカル」というジャンルの復活をまじで考えていたとしか思えないキチガイぶりに、皮肉ではなく泣く。そして「その復活方法はこれしかない!」と思った(であろう)素っ頓狂なやり方、「せっかくならシネスコで撮ればいいのに」と思っても意地でスタンダードで撮ったスタンスにまた泣く。
とにかく、『ララランド』でイライラしていたことがこの作品によって全て解消した。デイミアン・チャゼルのダメなところはこういった「失敗作」を撮れなかったことなのだ。
『ワン・フロム・ザ・ハート』ー私はこの愛すべき「失敗作」を断固支持する。「心から」ね。
@国立映画アーカイブ 35mm