アトミ

夏の遊びのアトミのネタバレレビュー・内容・結末

夏の遊び(1951年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

81点

劇場に白鳥の湖をリハーサル準備中のマリー宛の小包が届く。
オールイヤー新聞記者のダーヴィッド・ニイストレムは自分が小包を楽屋に持って行くと手を上げたが、受付のオッサンは「取材は終わりだ」と却下し追い出す。
オッサンは相棒のカールに小包を持って行かせた。

マリーが小包を開けるとそれは前カレだったヘンリックの日記だった。思わず日記を落としてしまうマリー。

リハーサルか始まる。
が、裏方のおっさんは「今日不吉な夢をみた。何もなければいいが」と心配しながら幕を上げた。
バレリーナ達が踊る。
と、突然照明がショート。
リハは一旦中止となる。

楽屋。
カイは考え事をしてるマリーに「不機嫌ね?子供に『おばさん』て言われた?コイワズライ?」と質問。
マリーはせつない夢を見た後泣きたくなり、何もかも捨てて遠くへ行きたくなると話す。
カイはそんな夢見たことないと新しいトーシューズで痛めたつま先をお湯で温め、タバコを咥えながら「ツラい仕事よ」と愚痴る。
マリーはヘンリックの日記をパラパラとめくり彼を思い出した。

リハが夜まで延期になったのてマリーは一旦劇場から出る。
が、待ってるはずの彼氏ダーヴィッドがいない。
受付のオッサンからしつこいから追い出したと聞き「あんたはクビよ!」とブチ切れた。

外(港)で待ってたダーヴィッドがアクビしようとしたマリーを背後から「わっ!」と驚かせる。
リハが終わったと思ったダーヴィッドは今日は早く寝ようと提案したが、マリーはリハが終わってないと却下。
せっかく上司に頼んで夜を空けてもらったのにといつもバレエが優先のマリーに愚痴る。
マリーは「じゃあ今から」と提案したが逆にダーヴィッドは仕事。
マリーはいつも新聞が優先のダーヴィッドに愚痴る。
が、ダーヴィッドは頭にきてもマリーを愛している。が、わがままは嫌いださようならと帰ってしまう。

ダーヴィッドを引き留めようとコートから手を出したマリーはヘンリックの日記を落としてしまう。
日記を拾い上げると停泊中の連絡船のスクリュー水しぶきが目の前にあり、思い出がよみがえったマリー。思いつきで連絡船に乗り込む。
知り合いの神父さんも同船。
マリーは降り立った島の海岸ぶち岩場にある小さな小屋(秘密基地的?)を訪れ、13年前の思い出にふける。


バレエ学校の春の舞台(発表会)。
晴れやかな興奮と共に力不足を思い知らされ悔しさも残ったツラい1日だった。
そんな中、マリーはヘンリック(マリーファン)と出会う。
ポジティブ思考で歳は取るけど「決して死なない」と考えてるマリーとネガティブ思考で友達はペットの犬のワンワンだけでいつも「死」を意識して怯えてるヘンリック。
マリーはヘンリックをエールランドおじさん(マリーに求愛し、マリーも絶対ではないがお嫁さんになってあげると約束。ベタベタするほど仲良しな感じ)の屋敷に招き、バレエ練習部屋に案内。キスをせがみ、2人キス。
2ヶ月間の宝石の様な日々が過ぎて行った。


マリーは屋敷にも行ってみた。
とエールランドおじさんがマリーが来るとわかっていたかの様に待っていた。
日記をマリーに送ったのはエールランド。
「あの時」病室で見つけ保管していたらしい。
船の時間があるからと屋敷を出るマリー。
エールランドの手はヘンリックの手と違い「キモくて触られたくない」らしく、泊まるのはゾッとすると本音を語った。


夏の終わりが近づく。
マリーはヘンリックを約束をすっぽかしてまで気の済むまでバレエ練習をする。
それが面白くなくヘンリックは「仕事と俺とどっちが大事?」と不機嫌になる。
来週から稽古が始まるゆえピリピリしてると謝るマリー。が、まだ仏頂面なヘンリックにブチ切れて「練習の邪魔!」と言ってしまい、喧嘩別れの様な形になってしまう。

気になったマリーはヘンリックを探し、屋敷を訪ねた。
ヘンリックの叔母(乳がん。ヘンリックよりも長生きすると豪語)と神父さん(死と向き合えて勉強になるゆえ叔母とよく会ってる)が庭でチェスをしていた。
叔母はヘンリックを金食い虫扱いで愚痴る。
と、また嫌味を言われてるとヘンリックが部屋から出て来た。
祭りのダンスが始まったからと神父はヘンリックとマリーを行かせた。

2人は仲直りし、小屋でレコードを聞きながらくつろぐ。
マリーがレコードの紙袋に漫画を書き出し、それがディズニーアニメの様に動き出す。
アニメを最後まで見た2人。
2人は婚約。永遠の愛を誓い合った。
が、マリーは夜の闇に不安を感じ出す。
2人は朝まで小屋で過ごす。

秋になればマリーはバレエ、ヘンリックは大学へ。それまであと3日。
今夜はマリー屋敷で食事しようと約束。
「それまで飛び込みだ!」とテンション上げて岩場から海へ飛び込んだヘンリックだったが失敗し頭に大怪我を負う。

病室。
ヘンリック死亡。机の上にあった日記をエールランドがパクる。

秋。
稽古に戻ったマリー。
明るかったマリーは笑顔を無くしてしまった。
飼い主を亡くしたワンワンを引き取っていたマリーだったがエールランドに「死なせてあげて」と頼んだ。
マリーは「人生の意味」を考え、エールランドは「人生には意味などない」と答えた。

マリー「神はいない。いたとしても大嫌いよ。死ぬまで恨んでやる」
エールランド「できるのは自衛の壁を作るだけだ。作り方を教えるよ」

マリーは冬、稽古に打ち込み、春、エールランドと旅に出て、壁を作り心を閉ざしてヘンリックを忘れた。


劇場に戻ったマリー。
リハーサルは無事終了。
マリーは1人楽屋で物思いにふける。
と、「コッペリア(自動人形)」のメイクをしたバレエ教師(演出のコッペリウス)が現れた。
彼はマリーを20年間見続けてきた。ダンサーはあと8年もすれば御用済みとなってしまう(教師の場合は円熟と威厳が増す)が、メイクをする落とす、踊るのも止めるのも恐怖。
生きるのも死ぬのも怖い。それが今のマリー。が、一度だけ真実の時が来る。壁が崩れ裸で震えるホントの自分が見える時が。
「意味のある人生を送りたい」など綺麗事。踊り続けて老いるのがマリーの運命(それを受け入れるしかない)。
全てを見透かされて泣き崩れるマリー。

と、ダーヴィッド登場。
マリーを泣かせたコッペリウスを追い出す。
コッペリウスはマリーに口づけして帰って行く。
ダーヴィッドは嫉妬で大不機嫌。コッペリウスを蔑む。
マリーはコッペリウスを庇う。言い合いが続く。が、ダーヴィッドとヘンリックがちょこちょこ似てる部分があり急に甘えたりする。
が、突然突き放したりするマリーにちょいビンタしたダーヴィッド。キレたマリーもうやっていけないと別れを切り出す。

マリー「帰って!ヘンリック!」
ダーヴィッド「ヘンリック?」
ハッとするマリー。
マリー「本をあげるから明日まで読んで。その後で話し合いましょう」
ダーヴィッドは日記を受け取り、楽屋から出て行った。

マリーはせつない思い出を涙で洗い流そうと思っていたが、今はなぜが涙が出ない。悲しくない。それは今の幸せが大切だからと気づいたかわ。
マリーはメイクを落とし笑顔を取り戻した。


翌日。
本番。
ステージからはけてきたマリーはバックステージにいたダーヴィッドとキスし、またステージへ。





というお話。
現在は真冬。美しい思い出は真夏。ての良い。
「今を受け入れる(生きる)」ということは「過去も未来も受け入れる」ってことだからね。
意味を持たせてしまうと比較の対象になってしまう。
「美しい過去」との比較。それは「老い」も同じ。

そこからマリーはダーヴィッドに「ヘンリック」を重ねた。
これは過去と現在が「同等の価値を持った」と言うことになるんじゃないかな?
まぁ普通なら元カレと今カレを一緒くたにされても困るけどこの作品のキモはそこじゃない気がする。
アトミ

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