夏の遊びの作品情報・感想・評価

「夏の遊び」に投稿された感想・評価

茶一郎

茶一郎の感想・評価

4.1
 本作『夏の遊び』は世界三代巨匠イングマール・ベルイマン監督初期の傑作で、ベルイマン監督の代表作にして、偏屈な老人が自分の過去を回顧する事で現在の愛の重要性に気付き孤独から解放されるという「俺の人生、無意味だったモノ」(私命名)の金字塔である『野いちご』同様の構造をもった作品です。
 この『夏の遊び』、ベルイマン自身、「この映画は心で作った」、「17歳の時(若すぎる!)に書いた中編小説が元になっている」と語る通り、冒頭の素早いカッティング・バレエのシーンから非常に若々しく軽快な印象を受けます。
 まだベルイマン作品を一本も観た事がないという方には、ぜひとも『野いちご』よりも見やすい『夏の遊び』を推したいです。

 『夏の遊び』のストーリーは、過去に恋人を亡くし、現在の恋人からの愛を受け入れきれないまま孤独に生きるバレエダンサーの主人公マリーが亡き恋人からの日記を発見する事で、恋人との過去を回想するというものです。
 閉鎖的で荒んだ現在と、美しい過去を行き来する『野いちご』的構造の作品で、特にタイトルにある『夏の〜』の通り、ベルイマン作品常連の「北欧の短い夏」を背景にした亡き恋人との恋愛模様が瑞々しく描かれていきます。
 後のベルイマン作品『不良少女モニカ』を連想する、小舟での男女の恋愛もとい現実逃避にうっとりしていると、突然、マリーの元に秋の風と共に「死」が襲いかかってくる。この快感すら覚えてしまう「生」と「死」のバランス感覚こそ、『第七封印』・「神の沈黙三部作」以前のベルイマンの死生観の鋭い演出力なのだと思います。
 
 過去に強烈なトラウマを患ったマリーはいかにして、孤独な現在という地獄を生きていくのか。マリーの過去への回想の旅が現在のマリーを癒します。ここで(これまた)ベルイマン作品常連の「鏡」がマリーの自己を見つめる舞台装置として登場するのが、ベルイマンファンにはたまらない!
 確かに、「老い」・「出産」・「死神」……と、重層的に生と死のモチーフを散りばめ、人生における「生」を肯定する過程を見せた『野いちご』と比較すると、随分、思考の浅瀬を行き来している印象もありませんが、その点が本作『夏の遊び』を見やすい作品に仕上げているように思います。
 結局のところ現在の愛と生を受け入れるしか、死から解放される術は無い。ベルイマン初期作にして、今後の作品に一貫した作家的マニフェスト宣言でした。
人生に意味などない、生きるのも死ぬのも怖い、意味や幸せなど、ただの言葉だよ。こういう聞いたことあるような台詞が飛び交うんだけど、多くの映画監督が影響を受けたんだろうなと感じた。最後にマリーが今の幸せが大切なのよってベロ出すシーンは、あまりにも突然で、何がきっかけだったの?って思うのと同時に、人の思考回路は誰にもわからないって言いたかったのかなって思った。如何にもリアルな人間描写だなって。いたってシンプルに感じるけど深い、そんな風にいつも感じさせるベルイマンの映画は心の隅にずっと残るな〜。
TOT

TOTの感想・評価

3.3
ベルイマン5本目にして一番普通というか退屈。
暗喩的な人物や動物の登場、バレエシーンや半顔の構図に後作に続くベルイマンらしさと、示唆ぶった台詞にベタベタなメロドラマがアンバランスに感じて受け付けなかった。
というかかなり眠かった。
TaiRa

TaiRaの感想・評価

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ベルイマンがデビュー前に書いた脚本を念願叶って映画化した作品。ここから後の作品に共通する特徴が出て来たとか。

20代後半のバレリーナの元にある日記が送られて来てそこから過去を回想する。後に『野いちご』で回想形式の映画を作るが、これはその原型になってる。駆け出しのバレリーナだった頃、休暇を過ごす為に訪れた伯母の別荘。そこで出会った若い青年との瑞々しい青春の日々。海辺で若い男女がいちゃついてるだけのシークエンスがやたらと美しい。初期のベルイマンと組んでたグンナール・フィッシェルの撮影。主人公が青年と再会するキッカケが彼が水に飛び込む音だったのも伏線になってる。バレリーナが主人公なら足を撮るべきといった画面構成。稽古中のトウシューズでつま先立ちをする足元を丹念に撮る。ラスト手前の足元だけを映すキスシーンが完璧。バレリーナのキスシーンかくあるべしという感じ。過去に囚われた女性/表現者が再び生きる意味を見出す過程のドラマ。振付師が楽屋で彼女に浴びせる言葉の厳しさ。ベルイマンの映画をいくつか観てると、とにかく女性に対する指摘が厳しい。スケべなのに女嫌いなんだろうな。伯母の彼氏である中年男のイヤらしい佇まいと気味の悪さも印象的。彼が「壁の作り方を教える」と言っていて、その後に振付師が「壁を壊せ」と主人公に言う。壁を壊す事の象徴としてメイクを落とすというのも上手い。顔のアップが多いのはベルイマン的だし、顔の半分だけを映すのも彼女の二面性や「欠けている」状態を表していて良い。バレエシーンも撮影と照明がイケててカッコいい。
hibiya1975

hibiya1975の感想・評価

4.0
ベルイマン生誕100年記念 リマスター上映 恵比寿ガーデンシネマ

中期以降の作品にあまり見られない、主人公の明と暗がはっきりと別れて描かれています。
主演女優さん、特に前半部分の可憐さに感激。
昭和26年だから「東京物語」と同年作品。日本でも原節子さんが全盛の美しさを誇っていた時代。
pomme

pommeの感想・評価

3.7
北欧の短い夏を過ごす、若くみずみずしい2人は生と希望の象徴。明るい笑顔のマリーが印象的。
一方現在のマリーは異臭のする劇場でバレエを踊っているが、壁を作り、笑顔はない。
終盤に濃いメイクを落として、長年囚われていたものから解放されたマリーの表情が好き。

マリーを演じていた、マイ・ブリット・ニルソンは、当時のスウェーデンで次のイングリッド・バーグマンと言われていたそう。
スウェーデンの島の景色、自然も綺麗。あと犬のワンワンもかわいい。
TAKUMA

TAKUMAの感想・評価

4.2
TSUTAYAであと1本借りるかとふらっとしてた時にタイトルが目に入って来ました。

夏に輝くかなり良い映画です。
モノクロで美しく、いろんなシーンが好きでした。
cap

capの感想・評価

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振付師からの助言「壁を壊すチャンスは一度だけ」。マリーがメイクを落とすシーン=壁を壊す瞬間かな。本来の自分を取り戻す。失った感情を呼び戻す。しかし最も印象的なのはマリーが感情を失う場面。あの病院シーンの素晴らしさ!『ベルイマン自伝』で感情について語るところ抜粋「私には現実感がなかった。知覚は外界の現実をそのまま記憶するが、感情のほうは少しも動じないことを知り私は驚いた。感情は閉鎖された世界に住んでいる。密室に閉ざされていた感情が解放されるまでには40年もかかった」。本作で描く解放は願望?分裂症をそのまま描かないところが初々しい。
久しぶりにグッとくる映画だった。すごい好き。
懐古シーンはまさに、若さ、美しさが全開だった 自然豊かだし あんなところで2ヶ月間も好きな人と過ごすことができたなんて、本当に宝石のような時間だったんだろうなと感じられる。あと犬が可愛すぎた。
後半、大人になってからは現実と過去との心の折り合いがつかない、みたいなかなりモヤモヤした展開だったけど、最終的に自己解決できていて、それが見ている方にも納得できるものだったのでなお良かった。
すごい好きな映画だしこれを青春映画と呼びたい。呼ぶ。
レナ

レナの感想・評価

3.5
化粧を落とすシーンとか、ぐっとくる箇所は所々あったけど…
物語が展開するときに「エッ…?笑」となって取り残されてしまった。
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