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南極物語のとぽとぽのレビュー・感想・評価

南極物語(1983年製作の映画)
3.5
タロとジロ

健と恒彦。まだ若いキャラポジションで勢いのある渡瀬恒彦の妻役は『時代屋の女房』コンビの夏目雅子さん、美しい。犬との絆、仲間を首輪につないで置き去りにしてきたこと。そして季節は巡る。捨てられないこだわりと葛藤。忘れられない罪の意識、贖罪。悔やまれる後悔の念が付きまとう…なんで、どうして。やり残し(てき)たことがある。思い立ったが吉日、心に浮かび住み憑いたアイデア考えは実行しないと次に進めないから。生き物なんてそんなもんじゃない、命の重さと価値を知るまでの遠回り。再会するまでの紆余曲折、決して平坦ではなかった道程。
人間側は内向きの葛藤で、犬たちには外界から目に見える形の障壁が降りかかって、その対比も良かった。まるで地表の銀世界と表情を変える空模様のように。甘くない厳しい現実が牙を剥く。ナレーションと共に犬たちと大迫力の自然(の過酷さ・厳しさも)を捉える美しい撮影によるナショナルジオグラフィックなどさながら資料映像のようなリアリティをもってして迫力と荘厳さ、そしてドラマ物語性。犬はちゃんと生きるんです!寒さに強いし餌も取る。陸に上がったアザラシはリンチで狩る。"風連のクマ"異名みたいになっている。基地は故郷ふるさと。あの有名な曲はやっぱりいい。
もしかしたら本作の主人公は犬かもしれない、どの生き物も逞しく生きているのだと。

P.S. この頃はフジテレビもまだNHKみたいに価値ある作品作れていたんだな、そんな時期もあったのか
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