田舎町の古城を相続した夫婦が、非業の死を遂げた先代魔術師の憑依現象に見舞われてしまう。エドガー・アラン・ポー著「幽霊屋敷」を映像化している、ゴシック・ホラー。
良かれと思って人体実験を繰り返す魔術師の思念と、悪人を仕立て上げようとする大衆心理が混交するカオス劇場。過去の出来事が風化したタイミングで、魔術師の子孫(ヴィンセント・プライス)が、町にやって来てしまう。
端的に言うと、紳士と魔術師を演じ分ける、ヴィンセント・プライスの存在感に一喜一憂するための作品。妻役のデブラ・パジェットに淑女の色気が備わっており、ロジャー・コーマン作品との相性もバッチリだが、残念ながら本作の公開後に引退してしまう。
眼球を喪失した奇形人間(=実験の失敗作)の描写が、クリーピーかつミステリアスでサイコー。19世紀の古城を舞台にしたゴシック世界も、フォトジェニックで美しい。憑依を解くための方法がソレかよ、というツッコミどころはご愛嬌。