「ひらけ〜ゴマ!」
そんな言葉から始まる物語。
お伽話をワクワクしながら聞いていた子供の頃の、純粋なこころを思い出して。
壁からにょきっと生えた腕が燭台を持ち廊下を照らし、これまたテーブルから飛び出た腕がグラスにワインを注ぐ。
そして侵入者の様子を探る彫像の目がぎらり。
CGがない時代のイマジネーションの素晴らしさ、ちょっと不気味なファンタジーの味わい深さがたまらない。
野獣は「オズの魔法使い」のライオンみたい。
耳がピンと尖って終始優しい表情を浮かべベルに夢中…というか、もはやしもべ。
そして指から煙がもくもく、手袋はどこでもドア。
ベルはお色気ムンムンな小悪魔系。
このふたりの関係はさすがのおフランス感が。ラストもびっくり。
細部まで行き届いた監督の美意識の高さやこだわりを感じながら、凝った仕掛けを見て自分のイマジネーションも膨らませる。
CGの圧倒的映像力で与えられるだけの感動より、それはとても楽しかった。