伯爵

籠の中の乙女の伯爵のレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
3.7
独裁的な父親のもと、息子と娘2人、母親が外界とは断絶された塀に囲まれた家にて暮らしていた。食料品等の外界の物資は父親が調達。他の家族は閉鎖空間で物資を待ち望みながらも遊んだり、お茶したり。
子どもたちの勉強はと言えば、
海は革張りの椅子、高速道路は強い風、遠足は固い床材といった置き換えた言葉で教育していた。外界と「家」とを区別するために外界の言葉をわざわざ置き換えているようだ。

外界はとても恐いところで、兄妹たちの兄もまた外界の「ネコ」にやられてしまったのだ。(父親が一芝居うってあたかも兄が外界の何者かに殺されたように見せかけた)
「ネコ」を遠ざけるためには犬のようにうなり声をあげて追い払うのだという指導をしており、父親は家族を犬のように扱っていると感じた。

最高に気持ち悪いのは息子の性処理要員として外界の女を雇っていたのだが、子どもたちに外界の悪い情報を提供していると父親がブチ切れて、その女に家具を投げつけるくだり。気持ち悪いのはそれからの展開なのだ。息子の性処理を誰がするのか…。

理由もなくこのような家族になったのではないと思う。存在だけ仄めかされている亡くなったもう1人の息子(兄)がキーマンなのだろう。それをきっかけに父親は家族を守らなくてはと思い立ったのかもしれないし、母親は深く病んでしまった(娘いわくいつも1人部屋で独り言をぼやいている)のかもしれない。真相は明らかにされてはいないが、何となく察しがつく辺りうまいつくりになっている印象だ。

思えばもうすぐハロウィン。こういった刺激的なある意味ホラーな作品をもっと観なくては。
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