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籠の中の乙女のnknskokiのレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
4.1
ギリシャのとある父母は子供たちを家から一歩も外出させず完全に社会から隔絶させて育てていた

今となっては似たようなストーリーの映画が世には数多く既出してるけど

ストーリーが簡略化されていて、今まで観た中で一番入り込むのに時間が掛かった💦

今まで僕が観たこの類の映画は共通して、まず言葉を制限することで相手を洗脳する

言葉が無いと世界を理解できない

が、そもそも宇宙には言葉なんてものは無かった

ビックバンが起きて原子が生まれて宇宙が生まれ地球が生まれそして生命が生まれ……

そうやってようやく生まれた我々人間が"勝手に"(←ここが大事)言葉によって世界を分節した

言葉が無ければ「ビル」も「道路」も「木」も「リンゴ」も「海」も「地球」も「宇宙」も全て同じタダの「原子の塊」でしか無いので、宇宙を分節することができず全てが"一つらなり"のフラットな世界(原子の塊)となる

(玉を転がして、ありとあらゆるものを取り込んだ宇宙を作る「塊魂」というゲームあったよね)

言葉は世界を構造化させるだけではなくもちろん感情や思想を示す手段でもあるので、言葉を制限された子どもたちには思想や思考というものが芽生えてこない

「嬉しい」「悲しい」「痛い」「イライラする」「好き」「嫌い」「仲良くしたい」「ありがとう」「ごめんなさい」

これらの言葉を使わず相手にこの感情を伝えろと言われたらみんなどうする?ジェスチャー?
言葉の使えないアウストラロピテクスはどうしただろう

子どもに「パパ〜?子供ってどうやって生まれるの〜?」と聞かれた大人が"セックス"という言葉を決して使わず「コウノトリが運んでくるんだよ」と答えるのも同じことで、それも大人のエゴなのでは?

ラストシーンは人によってそれぞれ解釈が分かれそう(答え合わせしたいけど、みんなあんまりそこはレビューに書いてくれていない🤣)

なんでもそうだけどいざ外に足を踏み出してみると、なんてことはなかったってのが僕の経験則でありそれが世の常でもある
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