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籠の中の乙女のsoyのレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
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外の世界を知らず、ひとりの人間が限りなく故意に定めた世界が全てであるように生かされた、無知による、純粋な欲求に従って生きる子供たちを描いていた。
そのためこの作品の中における彼らの行動を、現代社会の価値観の中に生きる私たちのものさしで狂気や崩壊と名付けるのは間違いかと思うが、少なくとも彼らの父親と母親は狂っていると形容しても良いだろう。

子供たちを外界に触れさせない父親の徹底的な信念がどこから来ているのかは全く描かれないが、それに従順な母親、協力する女がいることから、何かの宗教の信仰方針なのではないかとも想像してみるけれど、結局のところ分からない。目的も分からない。

ただもし本当に外界から遮断されたとして、その環境に生き続けることに疑問を抱くキッカケや、外界に対する好奇心を刺激するもの全てを排除することは難しいと思われるし、この作品においても描かれたように、その衝動に駆られずにはいられないはず。それに至るまでの過程を眺めたとき、どうしたって私たちには狂気に感じてしまうのだろう。
あらゆる既成概念や価値観、それに付随して生まれる当然感じるであろう感情たち、を剥がして 剥がしていった先に辿り着いたと思われる描写ばかりで、淡々としているけど、突発的な展開にウワッとなったりするので 観ていて飽きない作品でありました。
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