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光の旅人 K-PAXのsnowwhiteのレビュー・感想・評価

光の旅人 K-PAX(2001年製作の映画)
4.1
公開時に観たけれど当時はどう捉えていいのか分からない映画だった。アマプラもうすぐ終了と言うことで見直してみた。今回自分なりの納得のいく解釈が出来たのでそれも書いてみたい。




(ネタバレあります。あらすじ長過ぎるのでずーっと下の方の考察のみ読んでもいいかも。)

【あらすじ】
駅に男(ケビン・スペイシー)が現れた所から映画は始まる。引ったくりにあって倒れたお婆さんを男は助けようとするが駆けつけた警官に犯人に間違われ職務質問を受ける。警官の質問に男は答えるが意味不明。警官により精神病院に送られる所から映画は始まる。始まりのシーンから引き込まれるシーンだ。光の使い方が美しい。

病院で男はプロートと名乗り自分は人間ではなくK-PAX星から来た宇宙人であると言う。精神科医のパウエルは彼の言うことをニコニコと聞いている。

「(宇宙人と言う割に)君は英語が上手だな。」と弄った医師(ジェフ・ブリッジス)にプロートは「そうかな?こんなのは自分の星の言葉に比べたら簡単だよ。」と言って「¿ ^ ¬ ◦∗ > *! 」自分の星の言葉で何やら言う。ケビン・スペイシーはこの言葉か何か分からない音を自ら作り出して発音するのだが実に見事!やっぱり上手いなあ。

さて医師はプロートが宇宙人だと信じられないのだがだからと言って完全に否定するには彼の言っていることに引っ掛かる。そこで宇宙について研究している友人に相談する。するとプロートが言っていることは未発表で最先端の学者でさえ知っているのは数人しかいないという。そこで医師はプロートを連れて研究所を訪れ天文学者達に検証して貰う。最先端の学者達も敵わない程の知識で、学者達を驚かす。

さて、プロートは入院患者達に話しかけ治療を始める。K-PAX星ではこの治療法が一般的らしい。医師は患者を治すのは医師の仕事だからおかしな事を患者に言わない様にと注意する。
「(患者を治療するのが医師の仕事なら)さっさと治してよ。」とプロート。

プロートに声をかけられた患者達の症状は不思議なことに改善していく。今まで病院で薬を処方しても全く効果の無かった患者達である。

患者達はプロートがKPAX星に帰る時に一緒に連れて帰って欲しいと言う。プロートは連れていけるのは1人だけだと答える。

医師はプロートの言葉から5年前の7/27日(星から来たと言っている日)に何かトラウマになるような事が起きたのではと考える。そこで医師は7/27にプロートを自宅に招待する。

人に懐かぬ犬がプロートに懐き、プロートは犬の言っていることを代弁したりして皆を驚かす。

プロートに子供達は懐きブランコを押してと甘える。プロートは手慣れた手付きでブランコを押す。宇宙人ならばブランコを知らない筈なのに…。

そこで事件が起こる。スプリンクラーから水を出して子供達が水を浴びて大はしゃぎしたのだが、プロートはパニックを起こす。

ブランコを手慣れた手付きで押した事とスプリンクラーの件から医師はプロートは宇宙人ではなく人間で、トラウマになるような何らかが起こり、それを忘れる為に別の人格を作り出したのでは無いかと考える。

医師はプロートに催眠療法で過去のトラウマを探ろうとする。

【催眠療法で分かったこと】
友達の父が屠畜場の事故で死んだ。友達は何かあるとプロートを呼ぶ。呼ばれたと感じたプロートはK-PAX星からやって来る。友達の父は寝込んでいる時に友達に望遠鏡を買ってやり星を見ることを教えた。プロートは友達を外に連れ出して星を見せてあげたかったが友達はそれどころじゃなかった。

そこまで話すとプロートは辛そうに外に出たいという。具合が悪くなったので催眠を解く。

プロートが宇宙から来たと主張している日(5年前の7/27)に屠殺場で何か事件が起こってないか調べる。

一方患者達は誰がプロートに連れていって貰えるのかで大騒ぎ。そこで、どうして連れていって欲しいのかを書いてプロートに提出し決めて貰うことにする。

【再び催眠療法】
友達ピート(本当はロバート)は時々話し相手が欲しくなってプロートを呼び出すという。2人は色々話し合う。友達は屠殺される牛が暴れないよう殴って失神させるノッカーを職業としている。家は町外れで2~3エイカーの土地に数本の木、近くに川がある。川以外はK-PAXに似ている。

友達は出来ちゃった結婚をして父の命を奪った屠殺場の仕事を継いだ。奥さんはサラ、娘はレベッカ。子供の誕生日は来週。(7/27か?)

医師は催眠療法で分かったことと鉛筆に書いてあった電話番号を元に場所を割り出し行ってみた。

そこで起こった事件を見つけ男がロバートという名前だと分かる。

事件の内容は凄惨だった。ある日流れ者が家にやって来て奥さんを犯した上、子供と共に殺害した。そこへ帰ってきたロバートは男の首をへし折って殺害し、その後近くの川に飛び込んで自殺。

警官に案内されて行った家は住む人もなく事件当時のままだ。恐ろしい事件の傷跡を残したまま…。警官は言う。「本当に悲惨な現場だった。俺でも殺すね。」

外には医師の家と同じくブランコとスプリンクラーが。医師は悟る。ブランコを押すのにプロートが慣れていた理由を。スプリンクラーでパニックを起こしたのも、血だらけの身体を洗ったから買ってだろうと。

川からロバートの遺体は発見出来なかったのに地元警察は溺死と断定したという。警官は病院にいるプロートがロバートだったとしてもこの話はこれでおしまいにしようと言った。

事件当時の警察も、今案内してくれている警官もロバートに同情し不問にすると言うことなのだろうと思う。

医師が病院に戻ると患者達がプロートのお別れ会をしていた。明日(7/27)朝日と共にK-PAX星に帰ると言う。誰が連れていって貰えるのか教えて貰えなかった。

プロートは医師に言う。「息子ともっと時間を過ごすように。クリスマスも一緒に祝って。」「そうだな。そうしよう。」と医師は答える。
「僕の星には家族(という概念)がない。」とプロート。
「星に帰らず人間として残ったらどうだ?」プロートは首を振って笑う。

病院の職員はプロートの部屋の前で見張る。警備員もモニターでプロートを監視。医師はニューメキシコから戻ったばかりなのでうとうと寝てしまった。いよいよ日の出。モニターは何故かノイズが入って見えなくなる。

朝日が昇る。医師慌てて駆けつけるが部屋は空っぽ。
と、思ったらベッドの下に倒れていた。

ストレッチャーに載せられて運ばれるプロートを見て患者達が囁く。

「あれ誰?」「さあ。」「プロートじゃないよね。」「うん。プロートは帰った。」「
あれっ?ベスは?」
患者達は慌ててベスの部屋に。ベスの姿は何処にもなく、部屋にはベスが書いた星に行きたい理由の紙が。そこには「私には家がない。」と書かれていた。

患者達は選ばれたのがベスであった事を知りベスを祝福する。

このシーン好きだなあ。とっても素敵!患者たちがストレッチャーで運ばれた男がプロートではないとちゃんと分かっていたのもGood!

ロバートは植物人間の様に何も動かず喋らなくなってしまう。まるで脱け殻。それでも医師は諦めず熱心に話しかける。

ベスは方々探したが見つからず。終




【考察】
考察①
この映画、プロート(ケビン・スペイシー)が宇宙人だったのか人間だったのか、観る人により解釈が2つに分かれると思うのだけど、私は宇宙人だったと思う。

地上の人間がほんの数名しか知らない天文学の発見を知っていた。もしも解離性同一性障害であるならここが説明がつかない。

考察②
ベスが消えている。
もしプロートが宇宙に連れて行ったので無ければ、ロバート(プロートの抜け殻)は病院にいるのにベスだけが消えた訳が説明がつかない。

考察③
プロート人間説の人から「でもプロートはロバートの行動を見ているかの様なのは何故?解離性同一性障害でなければ説明がつかないじゃないか。」という反論が来そうだけど私の解釈は次の通りである。

ロバートは苦しいことがあると心の中で助けを求める。それがK-PAX星のプロートに届いてプロートは地球にやって来た。

プロートはK-PAX星に身体を置いて精神のみで地球に来たので人間の身体に潜り込む必要があった。身体を置いてきたのは身体ごと移動すると時間が余計にかかるからとかの理由。

プロートはロバートの身体を乗っ取っている訳ではなく、謂わば1つの身体の中に2人が同居している状態。なのでロバートの身に起きたことをプロートは全て見ることができる。事件を見ていたかの様だったのもそのせい。

考察④
K-PAX星に帰る時プロートはロバートの身体から出てベスの身体に入ってベスと共に旅立った。なのでベスの身体は消えた。
1人しか連れていけないのはこの為。プロートが中に入っていなければベスは光に乗って移動できない。

考察⑤
プロートが出ていったロバートの身体はロバートのみがいる状態になった。ロバートは川に飛び込み溺れたので植物状態となってしまっていた。今まで動けていたのはプロートが中にいたから。彼が出ていった為動けなくなった。

以上が私の解釈です。
色々な解釈があると思いますがこれで全て説明つかないでしょうか?
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