あつぼう

墨攻のあつぼうのレビュー・感想・評価

墨攻(2006年製作の映画)
3.4
コミック版を読んでなかったので変な先入観を持たずに観れて良かったと思います。でもねもう少し墨家について掘り下げて描いてくれてると親切やったのに。この映画を観るまでは墨家という存在すら知らなかったので墨家の説明がほしかったところです。

攻撃は最大の防御って言葉があるけど、この映画では守る事によって敵を撃退させるって非攻という戦略がメインです。城の周りを10万の兵士に囲まれたら誰もが投了って事を考えますよね。そんな中、墨家の革離は戦術を駆使して10万の兵から城を守ろうとします。普通に考えたら非現実的やけど、歴史に名の残る墨家ならこれに近い事をしたんでしょうね。

どれだけ強力な兵士や策士がいても、上に立つ人間がバカなら宝の持ち腐れです。一国の主が私利私欲にかられて周りが見えなくなるなんて最低ですよね。これって汚職まみれの政治家とダブってしまって、どんな時も自分の事しか考えない人が上に立つと先がないって事かなって思いながら観てました。

10万の兵士を集めるのは無理やからCGに頼ってるところもあるけど、必要以上にCGを使ってないところは良かったです。大量の矢が空から襲ってくるシーンは迫力満点でしたね。ヘッドホンで聞いてたので弓と矢の音が凄くリアルでした。
不自然なワイヤーアクションもないし、ここらへんがハリウッドとは違うところですよね。革離を演じたアンディ・ラウの演技は素晴らしかったです。言葉ではなく表情で全てを語ってる演技はを出来る人って少ないですよね。脇を固める役者も良かったし、個人的にはファン・ビンビンの美しさにみとれてしまいました。

ちょっとでも墨家について勉強してから観た方が確実に楽しめる映画です。アジアの才能が集結した映画なんで、この映画を機にアジア映画界の交流がもっと深まればいいですね。
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