伊藤チコ革命的cinema同盟

墨攻の伊藤チコ革命的cinema同盟のネタバレレビュー・内容・結末

墨攻(2006年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

148.墨攻
原作未読・漫画も未読。

墨子の思想家の一人革離は、趙軍に攻められている梁城城主・梁溪からの依頼により、単身梁城に乗り込み、趙の大軍を相手に梁城を守ることとなる。革離はたった一人で梁城の民をまとめあげ、趙軍を相手に奮戦する。

春秋戦国時代を題材にした歴史映画だよ。中国史ものだよ。

最初のうちは迫力ある映像美と合戦シーンの虜になったんだけど、なんか、物語の細かいところが雑なんだよね。なんだろう。。。
冒頭の合戦は導入としては高評価なんだけども、ただ主人公である革離の肉付けが弱い。謎めいた存在にしたいのかもしれないんだけども。
何シーンかカットしてるせいで、いきなり脱走した農民の家族が殺されたりしてる。テレビで見たから少しカットされたのかな?

後半に連れてアラが目立ってくるよ。

本作では女将軍がいるんだけど、後半全然役に立たなくて普通の女性してるのと、作品のテンポを悪くしているので、なんかね。結局最後は悲哀の死に方するんだけど、話にあんまり関係していない気がする。普通のメロドラマになっちった。

一番ひどいのは、趙軍が撤退すると城主が革離を疎ましく思い、殺そうとする。
でも、城主の息子兼革離の友達の機転で、彼らは城を抜け出す。

息子は人質のフリをしていた革離と共に城から脱出するんだけど、解放された時に、見張りが見つけて一斉に弓を放つように指示。
で、息子はハチの巣になってしまう。
馬鹿じゃねえの?
そこはまず息子を保護しないとダメでしょう。

その他ご都合主義とか矛盾する展開が案外多くて、せっかくの予算掛けたのに台無しな印象。というか二時間でやる内容じゃないよね。3時間くらい必要だよ。

あと本作はこの時代を風靡した墨家集団のこと全然触れていないので、ただの有能な軍人が戦って、職務を放棄した女軍人といちゃいちゃする、単純な活劇ものになっている。

せっかく墨家が題材なのに全然関係していない。
そもそも墨家はこの戦いには関与しない方針だった。その背景には組織の腐敗とか何やかんやあったみたいだけど、でも革離は墨子の思念である弱い者の味方になるのために城に出向く。そこ丹念に描けばカタルシス爆発ものだったのに、全然描かれない。

でも大量のエキストラを用いた合戦場面はど迫力なので、そこだけでもお釣りは来るかな?