このレビューはネタバレを含みます
個人的には、ウディ・アレンの魅力が凝縮された作品だと思います。
ファンタジーコメディとでも言いますか。今回の舞台、フランスにまつわる自分の好みを、思い付くままに詰め込んじゃったよ的な。
オーウェン・ウィルソンがまた、いい年してピュアなんですよ。よく知らない名前が出てきても、彼のリアクションでその人物がどういう存在なのか分かる。
荒唐無稽なんだけど、一緒に夢を見てるみたいで笑っちゃいます。
ダリとか、似てる!ってウケたなぁ。
T・S・エリオットを読まなくちゃ、とか。
本作のマリオン・コティヤールは、本当に素敵でした。レトロでありながら、お洒落でかわいらしい衣装も見処。
対してレイチェル・マクアダムスは、嫌なタイプすぎて彼女だと気付かなかった。なんでこの役引き受けたんだろ。
些細な点じゃなく、おおかたで合意できるかどうかというのは、確かに決め手の一つかもしれません。
もう一つのテーマが、懐古趣味ですね。
日本が舞台だとしたら…
社交場で太宰治&太田静子と出会い、紹介された石井桃子が原稿を読んでくれることに。
駆け出しの田中角栄に遭遇した飲み屋では、ひばり嬢が巡業中。
恋敵の岡本太郎がいる喫茶店に行けば、手塚治虫が落書きしており、すれ違った黒澤明にトルストイを薦める…
みたいな感じですかねf(^_^;)
小生だったら、「紫式部、キターーー!」とかやりたい(笑)。
特筆すべきは、プロローグ。
ひたすら美しいパリの風景に癒されます。
外国人は傘を差さないとよく聞きますが、傘に美意識を見出だす日本人の感性も、捨てたものじゃないなと思います。
穏やかな雨の昼下がりに、ご覧ください*。・**・。*