てつこてつ

ジェネラル・ルージュの凱旋のてつこてつのレビュー・感想・評価

3.8
やっぱり、このシリーズの阿部寛と竹内結子の組み合わせは、「トリック」の仲間由紀恵とのコンビに匹敵するほど相性が良くて、見ていてクセになる。前作「チーム・バチスタの栄光」と併せて2作品しか製作されなかったのが勿体ない。そもそも関テレの連ドラを別キャストで系列でもないライバル局(TBS)が映画化する・・って、かなりのレアケース。

今回、彼らが挑むのは、やり手の緊急医療チーム班長と医療メーカーの汚職疑惑と、当事者である医療メーカー営業マンの殺人事件の真相。メディカル・ミステリーとしてのレベルは、前作に引き続き高く、一連の事件の真相や殺人犯の正体はサブストーリー扱いにしており、感情的なぶつかり合いはあっても、医療従事者たるもの、いざという場面では、垣根を乗り越えてでも人命救助を最優先すべき・・だとする本テーマは、作品の原作者が現役の医師であるからこそ伝わる強いメッセージ。

竹内結子は、側に付いていてもらえるだけで心が弱った患者が立ち直るきっかけになる・・という設定もピッタリの、彼女でしか出せないホンワカとした温かい雰囲気を前面に出し、前作に引き続いての好演。「いつ登場するか?」をワクワクして見守っていた阿部寛の意表を突く登場シーンはもちろん、全シーン変顔で挑む彼の登場カットには、いちいちツボに入る。

本作の陰の主役と言ってもいい境雅人は、やはりこの時代は、役者として本当にノリにノっていてハマり役。クライマックスの主要キャスト勢揃いの倫理委員会のシーンは彼の独断場。

羽田美智子、高嶋政伸、尾美としのりもいいけど、俳優時代の山本太郎を、おそらく初めてこの作品で見たが、若き熱血漢のERドクターという役どころ、実にハマっていて感銘を受けた。

患者に直接治療効果を与えない包帯などは病院の持ち出し、直接的な命の危険が無く、長期的な薬物治療で患者を抱え込める精神科・心療内科を拡充したいという病院側の心理等、リアルで、なるほどと思えるトリビアも豊富で面白かった。

泥酔して一泊病院に泊まって点滴受けただけでも大学病院では、3万円弱くらいの治療費が掛かるっていう現実だけは、しっかり肝に銘じておこう。
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