麩

blueの麩のレビュー・感想・評価

blue(2001年製作の映画)
3.0
物語として面白く感じられてくるのは正直ラスト15分くらいからで、そこまではダラダラと観てしまうんだけど、それにしても画面が綺麗で音が良くて、見惚れるカットや自分の人生の一瞬を想起させられるカットがあるので2時間観てしまう
学生時代ああしてだらだらだらだらとものすごくたくさんの時間を無駄にしたけど
10000時間無駄にしたから
こうして24歳になって、映画を観てるときにふとそのうちの一瞬を思い出せるんだと思うと、まあ悪くない

田舎の女の子の達観には時々目を見張るものがある
高校生のときにはとっくに自分の人生を見据えていて、そこに抗うこともなくそこを下回ることもなく、ただなんとなくこうなるんだろうと思っていた自分の人生を、想像のそっくりそのまま幸せに生きていたりする
そんな同級生が地元にはたくさんいる

遠藤の「桐島はすごいよ、桐島になりたい」
ひとりでは何もつかめない弱い女がひとりでも立てる存在に甘えながら憧れながら、
本人の言うとおり「流されるだけ」で決して桐島にはなれない、それが手に取るように伝わってきて切なかった
桐島はそんな遠藤がずっと一番好きで、遠藤になりたくて

この時代の映画の画質?画面の感じがものすごく好き
お泊まり会の夜にキスするところの音楽めちゃくちゃ良かった
桐島の実家の感じも 新潟の街も
この作品や「タイヨウのうた(YUI版)」「ジョゼと虎と魚たち(妻夫木版)」「ぐるりのこと」「さよならみどりちゃん」「サイドカーに犬」なんかの2000年代の邦画の空気感がすごく好き(画面の質や音楽とか、劇伴のないシーンの音とか)なんだけど、この感じはなんていうんだろう
麩